問題はシャープだけではない

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シャープの誤算 液晶頼み、値崩れ直撃 
理想の経営モデルにも限界



液晶テレビの代名詞にもなった「亀山モデル」で、一世を風靡したシャープ。
高い技術力で製品の付加価値を高め、国内雇用を守り続けたシャープの経営は、産業空洞化を余儀なくされる
日本の製造業にとっても理想のモデルだった。
電子機器の受託製造で世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業との提携を軸に再建を急ぐが、液晶で栄華を極めた
シャープの経営は、なぜここまで崩れ落ちたのか。



「21世紀には、ブラウン管を液晶テレビにすべて置き換える」。
平成10年に社長に就任した町田勝彦社長(現相談役)は、液晶分野に経営資源を集中した。

 

16年には液晶パネルの亀山工場(三重県亀山市)が稼働。日本で生産する「亀山モデル」の液晶テレビは、
最先端技術の象徴として爆発的に売れた。「液晶のシャープ」の礎を築き、地元の雇用にも貢献した。

 

だが、薄型テレビをめぐる環境は一変する。部品を集めて組み立てれば、一定の性能を持つ製品がつくれる時代になった。
心臓部の液晶パネルですら、製造装置さえ導入すれば比較的簡単に生産でき、韓国や台湾勢の台頭を許した。
差別化が難しくなることで、価格下落も一気に進んだ。

 

こうした環境の変化に、シャープは対応できなかった。分岐点は、大型液晶パネルの堺工場(堺市)の稼働だ。

 

21年10月、約4300億円の巨費を投じ、「第10世代」と呼ばれる世界最大級のガラス基板を使った液晶パネルの
生産を開始した。大型テレビの生産に適した工場で、片山幹雄社長(現会長)は「60型以上のテレビでライバルはいない」
と胸を張った。

 

だが、技術的に「汎用(はんよう)化」したテレビの価格下落は止まらない。世界的な景気減速も逆風になり、需要は
思うように伸びず、堺工場の今年4〜6月期の稼働率は約3割で赤字が続く。



事業立て直しのため、亀山工場は今後、成長が期待できるスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末向けの
中小型液晶パネルの生産に絞り込む。

 

しかし、堺工場は大型パネル用で転用が難しく、結果的に過剰投資になった。
パネルの自社生産など「自前主義」にこだわった結果に、奥田隆司社長も「限界があった」と認める。

 

液晶ばかりに経営資源を集中したことも裏目に出た。堺工場の稼働からわずか数年で、経営基盤を揺るがすまで事態は悪化した。

 

シャープが助けを求めたのが、台湾の鴻海グループだ。中国などに工場を置き、低コストを実現。受託製造に特化し、米アップル
スマホ「アイフォーン」や任天堂ソニーのゲーム機なども生産する。

 

一代で同社を育てた郭台銘会長は、領土を急拡大したモンゴル帝国と重ね、地元メディアから「現代のチンギスハン」と呼ばれる。
技術で世界をリードしてきた日本メーカーと、台頭する台湾メーカー。
両社の提携交渉の行方は、国境を越えた新たな連携のあり方を占う試金石になる。



→ http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120902/biz12090221160006-n1.htm



なるほどねェ。液晶パネルに特化した経営が、際先はよかったものの
最後はそれがアダになってしまったんですね。
シャープといえば先進的でアイデア商品というイメージがあったんですけどね。
シャープの崩壊により、かなり多くの中小企業が打撃を受けるでしょう。
シャープ頼みや納入先であった中小企業は、どうするのでしょうか。
すぐに他メーカー対応の汎用型企業、というワケにはいかないですよね。
因みにうちの地上デジタルテレビは全てアクオスなんですけど…。