消費税の暗闇

競馬

まるで生き地獄。消費税が上がると
サラリーマンの給料が減る理由


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このメルマガでは、消費税の欠陥についていろいろ説明してきましたが、まだ
まだ消費税の欠陥はあります。それは、「消費税は企業の人件費を減らす圧力
がある」ということです。これは曖昧な根拠で言っているのではありません。
数式的に見て明確に、消費税には人件費を減らす圧力があり、実際のデータ的
にも消費税導入後に人件費はさげられているのです。


これから税金に関して少々専門的な話になりますが、少し我慢して読みすすめ
てください。消費税は、その計算式の上で、「人件費が大きい企業ほど、納税
額が大きくなる」という仕組みがあるのです。企業は、消費税を納付する時、
客から預かった消費税をそのまま納付するのではありません。企業は、仕入
様々な経費を支払ったときに、消費税を払っています。だから、企業は客から
預かっ「預かり消費税」から「経費で支払った消費税」を差し引いて、その残
額を税務署に納付するのです。だから単純に言えば、消費税の納付額というの
は、次のような算出で表されます。
•(売上-経費)×消費税率(10%)=納付額


これを見ると、法人税などの計算とあまり変わらないように見えます。しかし、
法人税と大きく違うところは、経費の中に人件費が入っていない事です。社員
の給料には消費税はかかりません。そのため給料分の経費は「支払い消費税」
の計算からはずさなくてはならないのです。となると、消費税の計算は、ざっ
くり言って次のような算式になります。
•(売上-経費+人件費)×消費税率(10%)=納付額


この算式を見れば、人件費が多いほど、消費税の納付額が大きくなることが
わかるはずです。実際、企業が何かの業務を行う時、人件費を払って社員を
雇うよりも、業者などに発注した方が消費税の節税になるのです。


だから、企業は新しく人を雇ったり、社員に残業させて残業代を払うよりは、
外注したほうがいいということになるのです。先ほども言いましたように、
消費税導入後に、実際に、サラリーマンの給料は下がり、非正規雇用が増え
ているのです。日本のサラリーマンの給料は、バブル崩壊以降、先進諸国に
比べてあまりに下がりすぎたので、ここ数年こそ、少し上向きになっていま
すが、この30年で下がった分を取り戻すには遠く及ばないのです。


給料の減額や非正規社員の増加は、消費税の導入だけが理由ではないでしょ
うが、大きな要因の一つであることは間違いないのです。消費税推進論者の
学者などは、「消費税増税で人件費が下がるようなことはない」と言ってい
ますが、理屈の上でも実際のデータでもそうなっているのだから、それは詭
弁なのです。


このメルマガでも何度もご紹介してきた通り、消費税というのは、社会保障
費にはほとんど使われていません。企業や高額所得者の減税の穴埋めに使わ
れてきたのです。消費税が導入され、税率が上がるたびに、法人税や高額所
得者の所得税が減税されてきました。消費税が導入されたとき、消費税が3%
から5%に引き上げられたとき、5%から8%に引き上げられたとき、その直後
に相次いで法人税所得税などの減税が行われています。そして、今回も法人
税の減税が検討されています。


所得税の税収は、1991年には26.7兆円以上ありましたが、2018年には19兆円
になっています。法人税は1989年には19兆円ありましたが、2018年には12兆
円になっています。つまり、所得税法人税の税収は、この30年の間に、14.7
兆円も減っているのです。一方、現在の消費税の税収は17.6兆円です。つまり、
消費税の税収の大半は、所得税法人税の減税分の穴埋めで使われているの
です。


法人税が下げられれば、サラリーマンも得をするのではないか、と考える人
もいるかもしれません。企業が得をすることは、企業の中にいる社員も恩恵
をこうむることができるのではないか、と。しかし、それはまったくありま
せん。会計の仕組み上、法人税が下げられれば、サラリーマンはむしろ損を
することになっているのです。


先ほど、消費税が企業の人件費を引き下げる圧力があると述べましたが、法
人税は逆に企業の人件費を引き上げる圧力があるのです。だから、法人税
下げられれば、必然的に人件費を引き下げる圧力になるのです。


どういうことか簡単にご説明しましょう。法人税が高い場合は、企業は必要
以上に利益を出さないようにします。利益を出しても、税金に持っていかれ
るからです。企業は儲かっている時や金に余裕があるときは、税金を払わな
いために積極的に経費を使おうとします。当然、社員の給料もたくさん出そ
うとします。これは、もちろん景気対策にもなります。企業がなるべく経費
を使い、社員の給料を上げるようになれば、世間の消費は増えるからです。


ところが、法人税が減税されればどうなるでしょうか?企業はなるべく利益
を多く残そうとします。となると経費は切り詰め、社員の給料には下げ圧力
が加わります。会社が儲かったとき、その利益にはあまり税金がかからない
から、利益として残した方が得になるのです。実際のところ、バブル期まで
法人税は今よりも50%以上高かったのですが、サラリーマンの給料はうな
ぎ上りでした。そして1999年の法人税大減税以来、サラリーマンの平均年収
は下がりっぱなしなのです。法人税が下げられたから、企業としては何も考
えずに利益を上げることだけに集中してしまうのです。その結果、会社の内
部留保金が世界一レベルで積みあがっているのです。


今回の消費税導入にともなって、政府は「今のところ景気への影響は出てい
ない」と発表しました。が、それは当たり前です。消費税の害は、後からし
か現れないからです。


「消費税は国民に負担感を感じさせることなく、広く浅く取ることができる
税金」
消費税の導入時、政府はこういう説明を繰り返し行いました。確かに、消費
税というのは、直接税に比べれば払うときに負担感がないのです。今回も、
増税されたのは2%だけなので、一回、一回の負担感はそれほどでもないで
しょう。しかし、それは単に支払う回数の違いだけなのです。


直接税は、一回で払わなければならないので、負担感が大きいのです。し
かし消費税は、買い物するごとに、何百回、何千回と払うものなので、一
回の支払いでの負担感は小さくなります。それは、当たり前のことです。
消費税というのは、一回、一回の支払いでは大した影響はありませんが、
長期間をかかって確実に家計に影響を与えるものなのです。


ローンのことを考えてみれば、わかるはずです。ローンで買い物をすれ
ば、一回、一回の支払額は小さいので、負担感が少ないものです。しか
し、何度も何度も支払わなければならないので、そのうちに負担感が増
してきます。というより、ローンで買い物をすれば、給料から強制的に
差し引かれることに、必然的に、自分が日常的に使えるお金が減ります。


それは、消費税にも必ず言えることなのです。一回、一回の買い物では
それほど負担感はなくても、トータル的に、自分の「使えるお金」や
「買える商品(サービス)」は確実に減っているわけです。それは、通
帳残高や手持ちの現金残高に必ず反映されます。その結果、消費は冷え
込みます。


実際、消費税が導入されてから、消費は落ち込んでいます。90年代、
2010年代、日本の景気は一瞬、回復しかけましたが、消費税の導入と
税率アップで、吹っ飛んでしまったことは、記憶にあるはずです。
消費税は、確実に国民の懐を痛め、経済力を衰退させるのです。その
害は、弱いものから影響受けます。そしてボディーブローのように
後から後から効いてくるのです。


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•(売上-経費+人件費)×消費税率(10%)=納付額
「+人件費」なるほど人件費が多くなるほど、消費税の納付額は増えるってこと
ですね。これでは、社員を抱えて仕事をさせるより、外注・委託に出して経費で
落とす方が会社のためです。人員削減の圧力でしょうか。
弊社もリストラならぬ人員削減をしています。新規採用者は退職者数以下です。
また、外注・委託も増えてきました。大丈夫か!?
そもそも消費税自体、金持ちに有利で貧乏人には不利なんですよね。同じものを
買っても負担額は同じなんですからね。消費税に所得割合の控除はありません。
資産家も生活保護世帯も、まんべんなく同じ額を負担します。
確か消費税の導入は、欧米先進国の例にとり、税の直間比率是正のためでもあっ
たはずですね。10%になっても、まだ消費税率は欧米と比べて低いのですが。
政府は余り議論もなく10%に引上げました。幼保無償化・ひとづくり、などと
いう取って付けたような、消費税増税分の使途を示しましたが、果たして消費税
増税の使途として適切なのかどうかも議論の余地があって然るべきでしたね。
法人税と消費税の関係は、とてっも興味深いですね。