65回目の終戦の日の15日、今年も炎暑の中、多くの国民が靖国神社を訪れた。
民主党政権下で迎えた初の8月15日だったが、やはり菅直人内閣の閣僚は一人も
参拝しなかった。
このようなことは終戦の日の閣僚参拝について政府に記録が残る昭和60年以降、
初めてだ。予想されたこととはいえ、戦没者遺族にとって無念だったに違いない。
各閣僚の主体性のなさも問題である。
菅首相や仙谷由人官房長官が内閣の申し合わせとして靖国参拝の自粛を求めたにせよ、
全閣僚がそれに従ったというのは、情けない話だ。
改めて言うまでもないが、靖国神社にまつられている幕末以降の戦死者ら246万余柱
のうち213万余柱は先の大戦の死者だ。
それだけ、8月15日の参拝の意義は大きい。特に、首相が国民を代表して、国のため
に亡くなった国民の霊に哀悼の意を捧げることは、国を守るという観点からも、重要な
国家の責務なのである。
一方、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーは昨秋と今春
の例大祭に続いて、この日も靖国神社を参拝した。
民主党議員も参拝したが、菅内閣の副大臣、政務官は加わらなかった。
同会とは別に、自民党の谷垣禎一総裁、安倍晋三元首相らも参拝した。
谷垣氏は昨年の総裁選で「8月15日に靖国参拝する」と主張し、約束を果たした。
今後も、その姿勢を貫いてほしい。
この日の靖国神社は、年老いた遺族や戦友らにまじって、学生や若い男女、親子連れの姿が
さらに増えたように思われた。8月15日の靖国参拝は、国民的行事として定着しつつある。
同じ日、韓国のソウルで開かれた日本統治からの解放65年を祝う「光復節」記念式典で、
李明博大統領は日韓併合100年に関する菅首相談話を評価し、「歴史を忘れず、ともに
新しい未来を開拓する」ことを訴えた。
10日に出された菅談話は日本の朝鮮半島統治を一方的に非難する内容で、与野党の反対・
慎重論を押し切って閣議決定された。
今回、菅内閣の閣僚が参拝しないことも、中国や韓国のメディアは好意的に報じている。
近隣諸国にのみ配慮し、戦没者の霊に背を向ける首相は、日本のリーダーとしての資質が
疑われよう。
→ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100816/plc1008160311000-n1.htm