セックス拒否で妻殺害51歳男
裁判所に一蹴された「我慢の半生」
夫婦の性生活に不満を抱えた男は、理不尽にも妻=当時(49)=の命を奪う凶行に及んだ。
殺人と死体遺棄の罪に問われたトラック運転手の男(51)の裁判員裁判で、大阪地裁は昨年12月、
懲役15年(求刑懲役20年)を言い渡した。いかに妻に束縛され、我慢を重ねる生活だったか…。
男は性生活をめぐる“苦悩ぶり”を法廷で切々と語ったが、傍聴者にとっては耳を疑う内容ばかり。
凶行に及んだ動機を「セックスの誘いを断られた」と真剣な表情で吐露したが、裁判長からは「殺害
するほどの事情とはいえない」と一蹴された。
■「常に我慢」を決意
《平成25年5月17日夕方から翌18日未明にかけ、大阪府東大阪市内の自宅で、妻の首を両手で
絞めて窒息死させ殺害。同日午前9時45分ごろまでの間に、遺体を勤務先の駐車場まで軽乗用車で
運び、埋めた》
男は初公判で起訴内容を素直に認めると、被告人質問では、妻に振り回されたという生活の詳細を明ら
かにしていった。
離婚歴が1度ある男は平成12年ごろ、仕事の配送先で妻と知り合った。結婚前に同棲(どうせい)
生活を始めると、妻の要求は徐々にエスカレート。トラックの長距離配送で関東や九州に行った際、
妻から「寝られへん。はよ帰ってきて」との電話があり、疲労した体にムチ打って高速道路を飛ば
して戻ったことも何度かあった。
妻の要求に文句も言わずに従う理由について、男は「バツイチで失敗したくなかった。妻と一緒に
なるには我慢するしかないと思った」と説明。同棲(どうせい)から約1年後の15年末に結婚した
とき、男はこう決意した。「自分が我慢すればうまくいく。常に我慢することを心がけた」。
だが、この決意が男の心を徐々に締め付けていく。
結婚後は妻の意向でマンション(約3千万円)を購入し、犬を同時に5匹飼った。男は「妻は潔癖症で
犬の毛が付くのを嫌がり、面倒は私が見ていた」と供述。リビングに犬のスペースを作り、男は犬の毛
が付かないように下着姿で世話をさせられたという。「妻が決めたルールに従うしかなかった」と声を
落とした。
■セックスが“日課”に
被告人質問の話題は夜の性生活にも及んだ。
弁護人「妻には女性特有の病気があったか」
男「妻は子宮筋腫で生理痛がひどいと言っていた。痛みの解消のためにセックスをしていたが、あれは
セックスではない」
弁護人「どういうこと」
男「毎日セックスをするよう言われたが、私が射精することは許されない。私も年だから射精してしまう
と途中で終わるし、毎日できないから」
弁護人「どんな気持ち」
男「気持ちいいわけがない」
男が一度断った際、妻は「なんで言うこと聞いてくれへんの」と激怒。毎日の“義務”はその後もしばらく
続き、1年半ほどで終わった。男は「助かったと思った」と振り返った。
18年ごろ、マンションから一戸建てに引っ越した。そこでは「アダルトビデオを見た夜はエッチする」
というルールができた。ビデオを見ていない夜の場合、男が誘っても妻はきっぱりと断った。
ほかにもルールがあった。男が下着を脱ぎ、いざ事に及ぼうとすると、潔癖症の妻から「手、洗ってへん
やろ」と注意された。「萎えますよね」。男は証言席でうなだれた。
■破産、別居、再び同居
一方で家計は圧迫されていた。検察側の冒頭陳述や男の供述によると、妻の発案で買ったキャンピングカー
2台(計約540万円)に加え、以前のマンションと一戸建て(購入金額計約7500万円)のローンも
残っていた。男は妻に言われて土日もアルバイトに出たが窮状は好転せず、22年に自己破産するに至った。
自宅の売却も余儀なくされ、男は妻と別居することにした。だが一人暮らしを数カ月続けたころ、妻から
食事の誘いのメールが届き、23年9月ごろから同居生活を再開。2人は事件現場となるマンションに
引っ越した。
正月やゴールデンウイークは、妻がビデオ店で映画のDVDを10〜20枚借り、鑑賞する日々が続いた。
男は「勘弁してくれと思った。でも、けんかを避けたかったので口には出さなかった」と打ち明けた。
■切れた「糸」
そして事件当日の昨年5月17日も、男は妻と映画のDVDを見てから寝た。だが欲情して目が覚める。
隣で寝ている妻を誘ったが、妻は「手も洗っていないし、(アダルト)ビデオも見てないやんか」と拒んだ。
この一言が引き金となった。「また、そんなこと言ってと思って…。今まで我慢していたけれど、このときは、
ずっと張り詰めた糸が切れた」。法廷で声を震わせ、当時を振り返った。
男は妻の体に馬乗りになり、両手で数分間にわたり首を絞めた。妻の胸に耳をあて、ゴクンと息が止まる音を
聞いた。自分のしたことが怖くなった男は犯行の隠蔽を図った。
翌18日未明に遺体に布団を巻き、破れないよう布団袋を二重にして梱包(こんぽう)。
遺体を車で勤務先の駐車場に運び、目撃されないよう警戒しながら穴を掘って埋めた。
遺体の腐敗により遺棄現場が沈下し発覚するのを防ぐため、セメントをまいて固めた。
さらに妻の勤務先に電話し、「鬱病で出社できない」と伝えた。
不審に思った勤務先の関係者が大阪府警に通報。男は任意の事情聴取を受けた後に逃亡して九州や四国を転々
とし、5月28日に徳島県で身柄を確保された。
■「ばかだった」と謝罪
「妻は、これからしたいことがいっぱいあったと思う。その思いを一生忘れずに死ぬまで償いたい。
遺族にはつらく悲しい思いをさせ、私はばかでした。すみませんでした」
妻の遺族も被害者参加制度を利用して出廷していた。男は遺族に謝罪し、泣き崩れた。
地裁は12月25日の判決公判で、男に懲役15年を言い渡した。
裁判長は判決理由で「強固な殺意に基づく悪質な犯行」と指弾。情状をめぐる被告側の訴えを「被害者との
生活に不満を感じていたにせよ、殺害に及ぶほどの事情とは到底いえず、身勝手だ」と一蹴した。
男は「死ぬまで償う」との言葉を忘れなかったのか控訴せず、1審判決はそのまま確定した。
→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140214-00000634-san-soci
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“馬鹿な奴…”というのが感想ですね。
悪い女に引っ掛かって、その自覚はあれど、結婚生活が
出来ることを優先して、我慢を重ねて、破産して、そして殺人罪。
おまけに妻の遺族に謝罪し、泣き崩れたとな?
その“妻”の遺族も、よく恥ずかしげもなく出廷出来たもんだ。
こっちも相当恥ずかしいぞ。ワタシだったら、法廷でこのような
事実を供述調書や尋問で聞かされれば、赤面ものですね。