こんな時だから

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『不況こそチャンス 「好きなこと」を仕事にした
起業家たち 』

米経済の悪化を受けて失業や解雇の嵐が吹き荒れるなか、
その逆風を方向転換のチャンスととらえ、新たな道を
進み始めた人々がいる。
長年の夢や趣味をキャリアにしようと、美容院や時計店など
新たな事業に挑戦するケースも多い。
不況下の起業はリスクが大きいが、経費が安く済むなどの利点もあるようだ。


イリノイ州シカゴに住むジェニファー・ジャクソンさん(39)は大卒後12年間、
電気エンジニアとしてモトローラ、AT&Tなどの大企業で活躍してきた。
だが景気の悪化にともない、エンジニアの求人は激減。
「この機会に発想を切り替えよう」
と決心し、昨秋美容室を開業した。
子どものころからの夢だった美容師となって、多忙な毎日を過ごしている。



テキサス州ヒューストンのローラ・ウォルダスキーさんは有名ブランドの
デザイナーだったが、先月、オリジナルのアクセサリー店を開いた。
数カ月の失業期間を経て、長年の趣味を仕事にしようと思い立ち、
預金をつぎ込んで開店にこぎ着けたという。
「ずっと他人の会社のためにお金をもうけてきたけれど、
今度は自分の才能を自分自身のために使いたいと思ったのです」

と、目を輝かせる。



同州アーリントンでは、IT企業のサラリーマンだったジム・ペンソンさん(55)が、
音楽講師に転身した。04年、ITバブルの崩壊で職を失い、800通以上の履歴書を
送っては突き返された末、
「残ったのは趣味のカントリー・ミュージックだった」
という。
バンジョーマンドリンの教室を立ち上げて、20人以上の生徒を集め、何とか生計を立てている。



ニューヨーク州ハーツデールで時計店を始めたのは、ウォール街の金融マンだった
ウォルター・カーシュバウムさん(63)。2年前に解雇されたが、60代で新たな
職を見つけるのは難しかった。趣味は古時計の収集、特技は時計修理。
それらを生かして、年中無休で店に立つ。
「失業前の仕事と違って華やかさも権威もないが、楽しい毎日。
妻と2人で食べていくだけの収入はある」

と、満足げに話す。



厳しさを増す米国内の雇用状況。毎日どこかの大手企業が人員削減を発表し、
金融や法律などの分野ももはや安全ではなくなった。
学歴が豊かな収入につながるという図式は、すでに崩壊している。



小規模企業の経営は、通常でも決して簡単ではない。
起業後1年生き残る会社は8割、4年では半分以下という統計もある。

まして信用収縮が深刻化する昨今、起業家は相当のリスクを覚悟する必要がある。



一方、専門家らによれば、景気の悪い時は家賃や広告料が安くなる傾向があり、
求職中の有能な人材を確保できる確率が高い。また既存の競争相手も体力が
弱っているため、新参者が市場シェアを奪い取るには絶好のチャンスかもしれない。



過去の例をみても、日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブルは1837年の恐慌、
運送大手フェデックスは1973年の石油危機という時代にそれぞれ設立された。
「リスクはもちろん怖いけれど、その分だけ希望も大きい。
逆風にさらされるままじっとしているより、未来にかけるほうがはるかに良い」

と、起業家たちは口をそろえる。


→ http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200902280001.html