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『社説:療養病床 削減計画を実行せよ』


「療養病床の削減計画を凍結する」と民主党マニフェストにあり、
長妻昭厚生労働相は改めて「凍結」を表明した。
しかし、それでは医療が必要ない多くのお年寄りを病院に閉じこめて
おくことになる。
どうして脱社会的入院の流れをせき止めるのか、理解できない。


 
療養病床は、70年代後半から増えた老人病院を前身とし、現在は医療保険を財源とする
25万床と介護保険の13万床が存在する。
06年、自民党政権は介護療養病床を全廃、医療療養病床を約22万床(当初は15万床)
に削減する計画を発表した。
それに対し「介護難民があふれる」「医療のない介護施設では不安」などの批判が起こり、
民主党は削減計画を凍結する旗を立てたのだ。


 
しかし、療養病床を削減するといっても、閉鎖して入所者を追い出すわけではなく、
特別養護老人ホーム老人保健施設などへ転換させようというのである。
そのために施設基準を緩め、税制優遇や各種助成金もある。
医療が手薄になることへの入所者の不安は分からなくはないが、中央社会保険医療協議会
調査(05年)ではほとんど医療が必要ない人は約50%、週1回程度の医療の提供で
済む人と合わせると8割以上になる。
日本医師会厚労省の調査でも4割前後の人は医療がほとんど必要ないという。
むしろ狭い病室で寝かせきりでいるために症状が悪くなる人が多いとすらいわれているのだ。


 
では、なぜ介護施設への転換が進まないのかといえば、経営側にとって収益が減るからだ。
入所者1人当たりの1カ月の平均費用と床面積は、特養ホーム29万円(10・65平方メートル)、
老健施設31万円(8・0平方メートル)、介護療養病床41万円(6・4平方メートル)、
医療療養病床49万円(同)。
療養病床が狭いのに費用がかかるのは医師や看護師を多く配置することになっているからだ。
しかし、現実には医療が必要ない入所者が多い。
その矛盾を解消するための削減計画であり、医療給付費も総額で3000億円くらいは
節約できるといわれている。
症状の重いお年寄りは存続する療養病床に集約して医療を提供すればいいのではないか。


 
最近は特養ホームや老健施設で個室化が進み、家庭的な設備や雰囲気が重視されるようになった。
いざという時の不安から狭い病室にとどまって結果的に寝たきりになるよりも、
生活環境の整った介護施設で手厚いケアを受けながら暮らした方が良くはないか。
精神科病院や一般病院にもお年寄りの社会的入院は多数ある。
やはり、ここは削減計画を実行すべきだ。健康のためにも財政のためにも社会的入院から脱しよう。
医療への過剰な期待はもうやめよう。


→ http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091123k0000m070110000c.html



この論説に対して書きたい事は山ほどありますが、
何分仕事中で(笑)、文才が無いもので一言だけ。
この論説委員の主張を突き詰めていくと、
結論としては、特別養護老人ホームや介護老人施設の
療養病床化に過ぎませんね。結果的には同じ事。
一部の“社会的入院患者”を以ってして、
全ての認知症等の慢性疾患を抱えた療養患者とその家族を
巻き添えにはしないでもらいたい。
おまけに、老人の年を追っての健康状態は、良くて平行線、
通常は徐々にでも下降線を辿るのが一般的ではないか。



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