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『ラスベガスの苦悩 緊縮ムードで会議激減 』
お目当てのカジノやショーを楽しむ一般旅行客とともに、
企業主催の会議やイベントに訪れるビジネス客で、
深夜までにぎわうラスベガスの街――。
そんな光景が、この数カ月ですっかりなりをひそめた。
全米を覆う緊縮ムードに加え、娯楽の都としてのイメージが
逆風となって、同市を直撃している。
「今年の1月は悲惨だった」と話すのは、ラスベガスのタクシー運転手、ドン・シンさん。
例年なら会議シーズンのこの時期、タクシー会社は車両数を増強する。
「ところが今年は、忙しいどころか暇になるばかり」。
シンさんの収入は、昨年同月の約半分にとどまったという。
会議ビジネスの専門家で構成する国際非営利団体、ミーティング・プロフェッショナルズ・
インターナショナル(MPI)によれば、不況下で企業が出張や大会、会議を自粛する傾向は
全米にみられ、その結果各地のホテルやレストラン、空港などで計240万人が職を失うと推定される。
なかでも、ラスベガスのように華やかなイメージを持つ街は、特に大きな打撃を受けている。
昨秋、米政府が保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ
(AIG)の救済を決めた直後に、
関連会社幹部らがカリフォルニア州南部のリゾートで
「豪遊」していたことが発覚、非難を浴びた
ことは記憶に新しい。
オバマ米大統領は先月、政府支援を受けている企業の幹部らが
「納税者の金でラスベガスに飛ぶ」
ような行為は慎むべきだと発言。
これを受けて金融大手のウェルズ・ファーゴとゴールドマン・サックスが、同市で開く予定だった会議を
相次いでキャンセルし、グッドマン市長が大統領に謝罪を求める騒ぎとなった。
多くの企業や団体は今、娯楽やぜいたくを連想させる行動を避け、
「真面目さ」を全面に押し出そうと躍起になっている。
会議、イベントの会場は、ミズーリ州セントルイス、マサチューセッツ州ボストンなどに移っているようだ。
ボストンではこれをチャンスととらえ、宿泊料金や航空運賃の割引を組み合わせたビジネス客用の
特別パッケージを提供する動きもあるという。