高すぎるバカの壁

競馬

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『記者日記:医師の説明 /埼玉』


「もう一度、一から説明しましょうか!」。
医師は突然、声を荒らげた。
昨年末、兄が大病をした。
治療法の説明の場に私も同席し、質問しまくった。
もちろん面白半分にではない。
学会のガイドライン本(書店でも買える)を読み、
病状の微妙な差によって治療法も違うことを知っていたからだ。

 
だが、医師は
「そんな細かいところまで聞いてきたのはあなたが初めてですよ」
などと繰り返し、明らかにいらだっていた。
揚げ句に、私が「念のため確認しますが……」と治療法のある細部について
たずねた途端、冒頭のようにキレてしまったのである。

 
私はひるまず質問し続けたが、こうした場面に慣れていない人なら黙ってしまっただろう。
医師と患者・家族を隔てる「壁」はまだまだ高いと痛感した。申し添えておくと、
医師はその後も献身的に兄を診てくれた。【平野幸治】


毎日新聞 2009年2月6日 地方版

→ http://mainichi.jp/area/saitama/news/20090206ddlk11070295000c.html



「質問しまくった」
「質問しまくった」
「質問しまくった」



それは、なでかというと、



学会のガイドライン本(書店でも買える)を読み、病状の微妙な差によって
治療法も違うことを知っていたからだ。



「学会のガイドライン
「学会のガイドライン
「学会のガイドライン
「学会のガイドライン
……。



はっきり言っておきます。
病院の便所で、
オナニーをやりまくるのは、
この際許します。
その結果、
検尿検査で、
「すぺるま(+++)」
と、結果がでて、
笑いものになってもそれは自己責任。
いやいや。
寝たきりの
八十歳の女性入院患者様の
検尿検査で、
「すぺるま(+++)」と返事が返ってきたときは、
さすがに、あせりましたが。


そういうわけで、
「学会のガイドライン本」を読んでも、病気には詳しくなりません。
なんつっても、プロのお医者さんが、診断、治療方針の参考にするもので。
シロウトが読んでも、時間の無駄な代物です。


これを読んで、
「おれは、学会のガイドライン本をよんだから、
この病気のことはきわめたぞ」

などと、
素人さんは、決して、言ってはいけません。
マスオを咥えた、愛人追っかけて、
裸で駆けてく、
陽気なサザエさん以上の
笑いものになります。




あかがまが、お産科のガイドライン本をよんで、
得意げに「僻地の産科医」先生や、
「なな」先生に議論をぶつけようとしたなら、
すげーあきれられるでしょう。
これほんま。
pheochromocytomaのお話でお叱りをうけたので、
あかがまは、謙虚にゆきますでございます。


しかし、
毎日新聞のこの記者様は違います。
ガイドラインのぺらっぺらな小冊子を読んで、お兄ちゃんの病気をしりつくした、
お兄ちゃんの病気の、オーソリティーにでもなったかのように、勘違いをしているようです。
それは、まるで、
童貞の中年おじさんが、
ワニブックスか、ワニの豆本の、
「新How to SEX」
「Let's SEX」
を読んで、
読んでっつーか、
中にのってる、
えちーな写真をみて、
おなごを歓ばすテクのオーソリティーになったと、
勘違いして、
「俺は、どんな女でも、三分でいかせてやるぜええええ」
と、夜の新宿裏通りの酒場で、
ちゅーはいのグラスを握り締めて、わめいているのと、
勘違いのレベルとしては、
ほぼ、
同等ではないかと思われます。

あうあうあ。


そういうわけで、
「説明の場」で、
彼はおそらく、とんでもない、とんちんかんな、
「質問をしまくった」に、ちがいありません。
さすがに、とんちんかんな、
「質問をしまくった」
この記者に、主治医先生もぶちきれ、
「おまえ、ぜんぜん、わかってねーよ!
もう一度、最初から説明してやるからちゃんと聞け!」
という意味で、
「もう一度、一から説明しましょうか!」
と、言ったわけなのに、
この記者は……。
わかっていない。


そのうえ、
「私はひるまず質問し続けたが」
 ……。
 …痛すぎです、平野さん。
少しはひるんでください。
すでに、あちこちの、お医者さんサイトで、話題になっているのを、
ご存じないとは思いますが。


あなたが、感じた壁は、
医師と患者・家族を隔てる「壁」ではなく、
あなたの、
脳内の、
バカの壁」なんです。

そんなあなたに、この唄を送ります。
あかがまの心を揺るがす、
稀代の、ブルースシンガー
柳ジョージ&レイニーウッドさんの、
「FENCEの向こうのアメリカ」
”今はもうきこえない
 お医者さんの下手な説明
 おれには〜高すぎた〜
 バカのフェンス〜”


おそまつです。



しかし、
こういう、困ったちゃんが増えると、
病状説明、無料というのはもう、やめたほうがいいかも。
三十分毎に、五千点ずつ、病状説明加算をつけてもいいと思う。



『医畜日記・楽屋篇』(あかがま 様)

→ http://blog.m3.com/akagamablog/20090207/1