Nのために

競馬

『Nのために』 湊かなえ(著)



みんな一番大切な人のことだけを考えた。
一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた。
穏やかな石垣島の浜辺で、杉下希美と安藤望は運命的に野崎夫妻と
出会った。その出会いはある悲劇への序曲だった――。
二年前の秋、台風による床上浸水をきっかけに、同じアパートに住
む杉下、安藤、そして西崎真人の三人は親しくなる。それぞれに屈
折とトラウマ、そして夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染め
ていく。すべては「N」のために。
タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件の真相を、モノローグ
形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。『告白』『少女』
『贖罪』に続く、新たなるステージ。



湊かなえさんのデビュー作『告白』は、実に衝撃的な作品でした。
物語の構成といい、最後の結末といい、とても新人作家とは思えない
圧倒的な筆力でしたね。これは久しぶりに読む、湊かなえ作品です。
物語の根幹は、歪んだ環境で育ったことに起因する、とても歪な「愛」
の形と、その愛にかられた「想い」です。
登場人物の全員がイニシャル「N」を持ち、各々が其々のNに対する
想いと愛をベースに、登場人物各々による独自の視点で、十年前の
惨劇を振り返ります。
まぁ、特段のドンデン返しはありませんが、著者の作品への期待度と
しては、それなりの作品ですかね。

★★★☆☆


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