そんな理由は通用しません

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ロシアが北方領土を返さない理由


なぜロシアは北方領土の返還に応じないのか。
12月15、16両日に行われた日露首脳会談では、この日本人にとって古くて新しい問いが
改めて突きつけられた。北方四島は軍事的要衝であり、返還に応じればロシアの安全保障を脅
かすことになる−。こうした認識は、日本滞在中にプーチン大統領が残した発言からも透けて
みえた。

 
オホーツク海は命綱

 
「ロシアにはウラジオストクと、その北に大きな艦隊の基地がある。わが国の艦船は(その港
から)太平洋に出ていく。私たちはこの面で何が起こるかということを理解しなければならない」
プーチン氏は16日に安倍晋三首相とともに臨んだ首相公邸での共同記者会見で、軍事について
語り始めた。
日米安全保障条約北方四島にいかなる効力を及ぼすのかを問い、「ロシア側の懸念を考慮して
もらいたい」とも呼びかけた。


非現実的な面積二等分


北方領土と千島列島は、SSBNがカムチャツカ半島東岸からオホーツク海に入るための通り
道に当たる。択捉島国後島の間には最大水深484メートルの国後水道が横たわる。 

 

国後水道以外にも、千島列島には北得撫島(うるっぷ)水道(2200メートル)や第一千島
海峡(2000メートル)などSSBNの通航路はある。だが、国後水道経由で、米軍や自衛
隊の潜水艦によるオホーツク海進入を許してしまえば、ロシアの核抑止力が損なわれかねない。
ロシアにとって国後水道は死命を決するチョークポイント(水上の要衝)でもある。

 

「ロシアからすると国後島択捉島はワンセット。(歯舞群島色丹島国後島の一部を日本
に引き渡す)面積等分という、軍事を無視した妥協案というのは露側には通じない」
ロシア軍事が専門の防衛研究所の兵頭慎治地域研究部長はこう指摘する。



国後、択捉両島には陸軍第18機関銃・砲兵師団が展開している。
露陸軍は大規模な改革を図り、師団を小回りのきく旅団に再編している。
こうした中で択捉・国後には「師団」を温存させてきた。

 

冷戦時代に約8000人規模だった第18機関銃・砲兵師団は約3500人に激減した。
実質的に旅団規模で、2011年3月に参謀本部がセルジュコフ前国防相に提出した装備
近代化も停滞。隊舎や関連施設などのインフラ整備も遅れ気味で、ロシアがどこまで北方
領土を軍事的に重視しているか疑わせる材料はあった。

 

しかし、プーチン氏の来日が目前に迫った11月下旬、露軍は北方領土の旧式装備を最新鋭
装備に入れ替えたことを発表した。
国後、択捉両島に地対艦ミサイル「バスチオン」(射程300キロ)と「バル」(射程
150キロ)を配備したのだ。

 

「極東海域におけるロシア太平洋艦隊の部隊展開ルート、これを援護をする。
それからもう一つは、オホーツク海における戦略原潜の活動領域、これを確保する。
こういった目的が考えられる」
防衛省の前田哲防衛政策局長は11月24日の参院外交・防衛委員会で、地対艦ミサイル配備
にからむ露側の意図に関する分析を示した。
日本政府から見ても、ロシアにとっての北方領土戦略的価値はいまなお減じていない。

 

歯舞群島色丹島に関しては国境警備隊が置かれているものの、ロシアは軍隊を展開して
いない。とはいえ、自衛隊や米軍が歯舞・色丹に電波傍受施設などを置けば、択捉・国後の
露軍部隊が丸裸にされる恐れがある。


北極海と中国の動き


北方領土戦略的価値は新たな要因によっても高まっている。北極海に向かう艦艇を牽制
する拠点としての役割だ。
北極海では、地球温暖化による海氷減少で航路や資源の開発が進んでいる。
特に北極圏への進出を強化している中国船はオホーツク海を通り、千島列島を抜けて北極海
を目指す。昨年9月には中国海軍艦艇5隻が、北極海の玄関口となる米アラスカ州沖のベー
リング海を初めて航行した。

 

露軍はこうした動きに神経をとがらせており、中国の砕氷船「雪龍」の航路上でミサイル
発射演習を行って牽制してもいる。択捉島に配備された地対艦ミサイルは、中国軍艦艇を
牽制する手段でもある。

 

北極海の防衛態勢強化の一環として、千島列島の松輪(マトゥワ)島では海軍基地を建設
する検討も進む。同島には旧日本軍が建設した飛行場がある。有事の際は装備・人員を集積
する拠点となり、北極海へと通じる航路を守る。


 
もちろん、ロシアにとって中国はオランダに次ぐ第2位の輸出相手国で、安全保障面でも
共同演習や武器輸出を行う「特権的な戦略パートナー」と位置づけている。
同時に、冷戦時代に約4000キロの国境を挟んで向かい合った潜在脅威だ。
急速な経済発展を続ける中国に国力は引き離されている。

 

2015年の国内総生産(GDP)は中国が2位だったのに対し、ロシアは12位。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、同年の国防支出も
ロシアが約910億ドル、中国が約2144億ドルで、両国の差は大きく開いている。


防衛協力前向きなロシア

 
約4000キロの国境線に大規模な陸軍部隊を再び張り付け続けるだけの体力はロシア
にない。中国は有力な輸出先でもある。だが、中国が地域覇権国として君臨すればロシア
国益を脅かしかねず、同じく中国を警戒する国と協力し、パワーバランスを有利にする
必要がある。防衛省幹部は「防衛協力に関してはロシア側のほうが積極的にやりたいと
言ってきている」と明かす。

 

日本政府としても中国軍の動向を共通の懸念として安全保障協力を進めたい考えだ。
安保協力を一定レベルに引き上げることで北方領土返還に向けた環境づくりにつなげたい
思惑もにじむ。今回の首脳会談で外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)の再開で合意
したのも、このためだ。

 

プーチン氏との首脳会談を終えた安倍首相は17日、首相公邸でロシアのタス通信との
インタビューに応じた。日露両国の協力の重要性をロシア国民に直接訴えかける場で、
首相はこう強調した。
「日本とロシアがアジア太平洋地域の安全保障分野で協力できれば、この地域がより安定的
になり、平和がより強固なものとなることに疑いはない」



http://www.sankei.com/premium/news/161226/prm1612260013-n1.html


まぁ安全保障上の理由があろうと、それは日本人の耳には
自分勝手な理由であり、北方領土が日本固有の領土として
返還を求める活動を止めさせることは出来ません。
読んで腹立たしかったのは、所詮は自国さえよければ他国
の領土を実効支配しても許されるという、身勝手さですね。
北方領土を日本に返還しなければ、これ以上の経済協力は
無理であり日本側にとっては無駄でもあります。
ロシアが原油安・資源安で経済が停滞しようと、そんなのは
自業自得であり、日本の知ったことではありません。