運転手も犠牲者の一人ですね

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旅行会社→バス会社→運転手 強要の連鎖、しわ寄せは「安全」に


群馬県藤岡市関越自動車道高速ツアーバス事故でクローズアップされた「ツアーバス」。
旅行会社がバス会社へ無理な運行計画を強要する例があるとして総務省が勧告するなど、
格安料金のしわ寄せがバス会社へ及び、さらに運転手の過酷勤務へと無理の強要が連鎖する
実態がかねて指摘されていた。事故の背景に、こうした業界慣行が絡んでいなかったか。



仮眠しても眠い


千葉県浦安市東京ディズニーランド。事故の翌日となった30日朝も、シンデレラ城を
見上げる広大な駐車場へ色とりどりの大型観光バスが次々と到着した。ナンバーは全国に及ぶ。

 
京都府の貸し切りバス会社の男性運転手(49)は「事故が起きた午前4時から5時の間は
通行量が一番少なくなり、最も眠くなりやすい時間帯だ。乗務前にどれほど仮眠を取っても
眠くなる」と打ち明ける。

 
国土交通省は指針で、運転手1人の1日当たりの運転時間と走行距離を9時間、670キロまで
と定めている。今回の事故は片道500キロほど。千葉県印西市のバス会社「陸援隊」のバスは、
往路は河野化山運転手(43)ともう1人が乗務したものの、事故を起こした復路は河野運転手
1人で、群馬県警に「居眠りしていた」と話した。

 
京都の運転手は「ワンマン運行が法的に可能とはいえ、やはり長距離の夜行は安全性を考えて2人
乗務が基本ではないか」と話す。


1カ月休日なし


総務省が平成21年、貸し切りバス運転手136人に行った調査では、運転手の89%が運転中、
睡魔に襲われたり居眠りしたりした経験があると答えた。

 

理由を複数回答で尋ねると「運行日程が厳しく疲れがたまっていた」が61%と最多で、「休みや
休憩が不十分で過労運転が常態化していた」が59%、「運行日程が厳しく焦っていた」が30%
と続いた。「1日9時間、670キロ」の指針は3割が「望ましい」と評価する一方、「望ましくない」
も2割を超えた。運転手の一人は「1日400キロ以上のワンマン運行はかなりしんどい」と訴えたという。

 
連続勤務が「30日以上」と1カ月間、全く休んでいない運転手も5%おり、総務省は「過労運転に
よる事故がいつ起きてもおかしくない状況で貸し切りバスが運行されている」として、国交省に対し
指導を徹底するよう勧告していた。


断れば商談こない


運転手の過酷な勤務の背景にはバス会社を取り巻く厳しい経営環境がある。
国交省によると、12年からの規制緩和によりバス会社は11年度の2336社から22年度の4492
社へ倍増。一方で、1台の1日当たりの営業収入は同じ期間に8万519円から6万3435円へ
2割以上減った。

 
山形県のバス会社は規制緩和以降、山形−東京間で旅行会社から得る収入が30万円から10万円近く
まで減らされた。幹部は「旅行会社の要求は絶対。断れば次の商談はない」と話す。

 

同社の場合、夜行は運転手2人体制が基本だが、旅行会社から「なぜ2人なんだ。1人で十分だ」と
クレームがきたことがあった。運転手のホテル代の負担が増え、客用の座席が減ることを嫌ったためだった。

 
総務省の21年の勧告でも「旅行会社がバス会社へ無理な運行計画を強要する例がある」と指摘していた。

 
今回のバスの料金は3500円。45人乗りバスが満席ならば料金収入は15万7500円。高速料金や
燃料代、運転手のホテル代を差し引くと、片道で残るのは10万円ほどとみられる。さらに運転手や従業員
の人件費が差し引かれる。


トラック運転手も


アーバスを企画する埼玉県の旅行会社の社長は「バス会社に安全面で指示しても結局は聞く耳を持たない
会社もある」と話す。

 
「運転手を2人置くという契約だったのに実際は1人だったこともあった。バス会社の実態を旅行会社が知る
ことにも限界がある」というが、旅行会社とバス会社の力関係は一般に、建設業界の元請けと下請けの関係と
同じ構図だ。

 
大型連休など繁忙期で急に手配を受けたバス会社は「空いているバスを必死で探す。年式や車種、車体の状態
は気にしない。運転手はアルバイトも雇い、普段はトラックを運転している人にも頼む」と明かした。

 
事故を起こした陸援隊の針生裕美秀社長(55)は4月29日、報道陣に「うちは定期運行ではなく、大型
連休の増便の手伝いということでバスを出した。ハーヴェストさんがどのようにやっているか分からないが、
うちは本当についこの間までインバウンド(来日外国人観光客)の仕事をしていたので…」と話した。

 
30日夕、ディズニーランドの駐車場では夜行便の準備に入る運転手たちがホテルなどから戻ってきた。

 
長野県のバス会社の男性運転手(59)は「お客の命を預かる運転手一人一人の自覚はもちろんだが、安さを
求めて安全を軽視しがちな旅行会社やバス会社の意識改革が必要だろう」と話した。



→ http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120501/dst12050100300001-n1.htm



まぁ起こるべくして起こった事故なんですね。
競争激化のサービス合戦でいい方に転べば良いのですが、量販店さながらの
値引き合戦。 しわ寄せは、現場の労働者への転嫁も同じですね。
高速自動車道を運転するバスの運転手さんは、ある意味では医者以上に多くの
人命を預かっているワケです。 その運転手さんが過労状態では…。
例えば、疲労困憊の外科医のメスに命を任せられますか?
今回の事故は運転手さんも犠牲者の一人と考えてます。