レモンと殺人鬼

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『レモンと殺人鬼』 くわがき あゆ著




2023年『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作


十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、
それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。
しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。
被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行なっていたのではないか
という疑惑がかけられるなか、
妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する・・・。


ネタバレしないように、少し感想を ...。
昨年、買っておきながら、昨日読了しました。
一言で言って、救いようのない物語、かな?
誰も幸せになれないというか。
でも、流石に『このミス』大賞受賞作だけあって、面白かったですよ。
特に、200頁を過ぎたあたりから、物語は急展開を迎えます。
そこからが、伏線として忍ばせておいたタネというかネタが残酷に
咲き始めます。 どんでん返しの幕が切って降ろされます。
姉妹が実は〇〇だったとか ...。
父親を殺した殺人鬼の運命 ...。
最後になって、漸く過去の悲しく辛い一家の呪縛から解き放たれた
主人公である美桜のこれから ...。
それまでは「大した事ないかな?」と、普通に読んでいましたが、
話が急展開を迎えてから、ドキドキしながらも一気に読ませてしまう
筆力は、お見事ですね。

★★★★☆