『Ｔ−山本の短機損機』 ─ここでも先送り
消えた年金問題でＡＩＪ投資顧問の社長、アイティーエム証券の社長ら4人
が詐欺容疑で警視庁に逮捕されました。2009年以降の契約が、運用実績を伴わ
ないことから詐欺行為に当ると判断されたようですが、03年頃から嘘の運用実
績で資金を集めてきたのですから、彼らのビジネスそのものが詐欺でしょう。
（「だますつもりはなかった」というのは詐欺師の常套句です。）
徹底的に真相及び責任を追及してほしいものですが、失われた1000億円強の
資金は戻ってきません。彼らの行為の最も許せないところは、困っている人
（年金基金）につけこんで騙し、そのツケを何も知らない加入者に負わせたこ
とです。罪万死に値すると言っても過言ではないでしょう。
期を合せたかのように、厚生労働省は厚生年金基金制度の改革案をまとめま
した。日経はこれまで手付かずであったから半歩前進と評価していますが、筆
者はこれほど中身のない案も珍しいとあきれてしまいました。基金財政の改善
については検討事項として全て先送り、わずかに解散手続きのルールを緩和す
るだけの内容となっています。（それも具体策はなし）
そもそも厚生年金基金制度をどう見直していくかという土台すら固めていま
せん。長きに亘って問題を放置してきた後ろ暗さがにじみ出ているようです。
自分たちに責任の火の粉が飛んで来ないことを第一義に考えたのでしょうが、
こんな案を投げられる有識者会議もたまったものではありません。改革に向け
た動きはまだまだ先のことになりそうです。
