エジプト騒乱と金融
NEVADA氏
今のエジプト騒乱は、エジプト政府に問題があるというよりは、投機資金をじゃぶじゃぶに世界中に
ばらまいている先進国に問題があります。
エジプト国民の怒りは「小麦粉が買えない」、「パンが買えない」から始まっており、この原因を
作っているのが「先進国が行っている金融緩和」だからです。
金融市場を救うとして滅茶苦茶な金融緩和をして投機資金を世界中にばらまき、これで商品市場を
買い上げ、結果、お金がない貧しい国民から食べる物を奪っている今の現状に怒っているのです。
今はまだ「小麦粉を配らない政権が悪い」として国民の怒りが政権に向いていますが、これが次には
「投機を作っている先進国が悪い」に変わるのもそう時間はかかりません。
そしてこの怒りはイスラム諸国全体に広まり、「国」として対応するのではなく、「イスラム諸国連合」
として先進国に対抗するべきという動きが広まれば、イスラム諸国は石油輸出を取りやめ、西側との
交流を止める動きになります。
力をつけてきているイスラム原理主義者たちは、イスラムの国民・子供たちが食べるのに困っているのに、
石油を分け与えている西側諸国の民は、有り余る食料を食べており、一体これはどういうことだ、
と怒りはじめているのです。
そして、投機資金をばらまいている先進国の金融市場が悪いのだと言い出しており、≪イスラム社会と
先進国との対決≫という構造になります。
彼らが石油を禁油し、小麦等の食糧とのバーター取引を求めてきた場合、対応できるのはアメリカしか
ありませんが、諸悪の根源とみているアメリカをイスラム原理主義者が相手にするはずがありません。
イスラム諸国連合は個別の国から食糧をバーターで入手するようになれば、食糧がない国は生きて
いけなくなります。
アメリカはワールドレポートで解説しました通り、石油生産面でも十分やっていけますが、ヨーロッパ・
中国・日本などは、石油もない、食べるものもない、という最悪の状況になります。
日本はアメリカ・ヨーロッパ同様、世界中にお金をばらまいて商品価格を吊り上げている張本人であり、
彼らからすれば、「敵」になります。
日本が金融緩和をして商品市場を吊り上げているのだと言われれば否定はできません。
今回のエジプト動乱が、単にエジプトだけの問題にとどまらず、今後世界を揺るがすことになるはずです。
→ http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/
身近な例ですが、コーヒー豆も投機対象に祭り上げられ高騰しているようで、
公私でよく利用しているドトールやサンマルクカフェも値上げに踏み切るのかしら?
まぁ50円程度(25%↑)なら兎も角、それ以上は勘弁して欲しいところですよねぇ。
世界市場では行き先を失ったお金がじゃぶじゃぶあるようで、株式市場も賑わっていますが
これも何時まで続くのでしょうか。
第二、第三の“リーマンショック”があると思われますよね。
だって、サブプライム住宅ローン問題も、解決を先送りしているだけで、
臭いモノに蓋をしているだけの状態です。
蓋の中の“臭いモノ”が、発酵、腐食して、ガスが充満し容器が耐えきれずに
爆発するのを予期することは、決して悲観的な見方ではないような気もします。
欧州を襲っている失業率の上昇とともに、今後の火種になるかもしれませんね。
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