本日の一冊

競馬

 ロサンゼルス・ドジャース、山本由伸が好投しても援護が少なく、なかなか勝ち星に繋がりませんねぇ。しかし今日は、長距離砲ではない打者に2発を浴びてしまいました。残念ですね。
 おまけに大谷翔平も不調ときています。三振の山を築いてしまいました。
 ドジャースには勝率でブリュワーズを上回って、ポストシーズンに挑んで欲しいのですけどね。


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『本陣殺人事件』横溝正史著
金田一耕助ファイル2


 一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴”おしどり”が……。密室トリックに挑み、第一回探偵作家クラブ賞を受賞した名作。
※本陣とは:江戸時代の宿場町において、大名や公家、幕府役人などの身分の高い人が宿泊・休憩するために用意された公的な旅宿のことです。



 「八つ墓村」「獄門島」「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」に続き、横溝正史作品の5冊目を読んでみました。
 この1冊には「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の3編が収録されています。
 本作は金田一耕助ファイル2ですが、1は「八つ墓村」なのですが以前にも記しました通り、八つ墓村での金田一耕助は物語の最後にほんの少し登場するだけで、この作品が名探偵・金田一耕助の事実上のデビュー作品です。
 う~ん、現代小説では決して描かれてない、刀自、省線電車、作男、復員、引き揚げ者などの終戦直後でしか御目にかかれない言葉というかその混沌を醸し出した世界、雰囲気がいいですねぇ、もう完全にハマッてしまいました。そこにこそ現代でも十分に楽しめる横溝正史作品たる由縁ともいえるところです。もっともそういう世界が嫌な人、ついて行けない人はダメでしょうけど ...、 蓼食う虫も好き好き。
 「本陣殺人事件」は、まぁ今でもこんな男はいるのかなぁって感じの作品。興味深かったのが金田一耕助の素顔。アメリカでの留学というか放蕩生活時に麻薬中毒者になっていたこと、しかし彼の地でも推理により事件を解決していたこともあります。そして偶然、サンフランシスコの果樹園で成功していた人物と知り合いになり帰国後、探偵事務所を開くにあたりパトロンになって資金援助をしてくれたことですね。そのパトロンになってくれた人物の姪に悲劇が訪れて、たまたま遊びに来ていた名探偵・金田一耕助の助力を頼み、ここに参上となったわけでございます。更にここで、その後も協力して難事件を一緒に解決する盟友となる、岡山県警の磯川警部との出会いともなります。
 旧本陣(つまり銘家)の家長の立ち位置の辛さというか、自らを厳しく律せざるを得ない苦悩によるものであり、今では到底通用しない理屈でも当時としては、そういう思考になってしまうのかもしれませんね。猟奇的殺人事件と思いきや一転して ...。密室における犯罪は推理小説の王道かもしれませんが、少し突飛過ぎたかな?
 「車井戸はなぜ軋る」
 本位田家・秋月家・小野家は、かつてはK村の三名(さんみょう)と称され、年番で名主を勤めた名家だったが、秋月家・小野家が明治維新後の時代変革に伴い零落する一方、本位田家は秋月、小野家の財産を吸収して昔以上に栄えていた・・・。
 閉鎖的な寒村に3つあった銘家の確執と嫉妬に纏わる復讐劇。掲載された3作品の中では一番面白かったかな。
 本作は、本位田家の末娘である本位田鶴代、先天性心疾患により病弱なのですが頭脳明晰で文才のある幼い彼女による、肺病で療養中の次兄に対する書簡という形で物語が展開します。この書簡において鶴代が次々起こる出来事を推理していくのですが、なまじ明晰だった自らの頭脳により恐ろしい事態に勘づいてしまい、病弱な自らをも弱体させていってしまうのが切ないところです。
「黒猫亭事件」
 酒場「黒猫亭」の裏庭から、顔が激しく損傷して身元不明の女性の死体が発見されます。状況証拠から、死体は黒猫亭のマスター・糸島大伍の妻である繁子ではないかと推測されますが、金田一耕助が事件の真相と複雑な人間模様を解き明かしていきます。
 AがBを殺したいとします。しかもAがBに殺意を抱く理由は周知。そしてAがBを殺します。その際、顔を潰してBの遺体にAの着物を着せて穴に埋めます。ほどなく時が過ぎた頃に腐乱した遺体が発掘され勿論指紋など取れない状態、遺体はAのものと断定されます。そしてAは名を改めて風の如くこの地を去ります。現代のようなDNA鑑定なるものがなかった時代、このような完全犯罪は少なからずあったのかと思われてしまいます。
 登場人物たちの深層心理を掘り下げ、精緻に論理・筋道を組み立てていく金田一耕助。名探偵ここにありですね。

★★★★☆



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