『昭和侠盗伝(天切り松闇がたり)』浅田次郎著
ご存知目細の安吉一家が昭和東京を駆け抜ける
今宵、天切り松が語りまするは、昭和初期の帝都東京、近づく戦争のきな臭さの中でモボ(モダンボーイ)・モガ(モダンガール)が闊歩する時代。巨悪に挑む青年期の松蔵と目細の安吉一家の活躍を描く傑作シリーズ第四巻。

ピカレスク・悪漢小説である「天切り松闇がたり」シリーズの中では異色とも言える作品ではないでしょうか。時は大正ロマンの時代から軍国主義が蔓延る昭和初期の時代へと突入します。
特に「日輪の死客」「惜別の譜」は重い作品ですねぇ。
ある意味では、日本の運命を変えた事件である「相沢事件」を扱った話です。
1935年8月12日、相沢三郎陸軍歩兵中佐が、陸軍省軍務局長永田鉄山少将を陸軍省において白昼斬殺した事件です。陸軍内における皇道派と統制派の内紛の末に起こった事件であり、翌年2月の二・二六事件に繋がった出来事の一つです。
永田少将は陸軍幼年学校・士官学校を首席、陸軍大学も恩賜の軍刀で卒業した秀才中の秀才で、かつ陸軍には珍しく冷静に世界情勢を見て、冷静かつ冷徹に判断ができる慧眼まみえた人物です。永田少将に比べれば東条英機・石原莞爾なんぞの小物などとは比べるべくもありません。この人物が後に陸軍大臣、総理大臣に天命下れば、第二次世界大戦に日本の参戦はなかったと言われるほどですね。
相沢中佐は銃殺刑になりましたが、それは自業自得で本望でもありましょう。問題は残された妻であり子供たちなのですが ...。
「王妃のワルツ」も悲しい物語ですね。実話を元にした一節です。
愛新覚羅溥傑と嵯峨侯爵家の第一子である嵯峨浩との物語です。
清王朝の末裔である溥傑と、満州国に展開する関東軍と陸軍省の策謀・陰謀による政略結婚を扱ったストーリー。
嵯峨浩は、後に記した自伝のタイトルから「流転の王妃」と言われることになります。
気になった方は、ググッてウィキペディアでも調べてみてください。
「昭和侠盗伝」も軽くはないお話です。爆弾三勇士に纏わる話です。爆弾三勇士とは、1932年の上海事変で、敵陣の鉄条網を破壊するために点火した爆薬(破壊筒)を抱えて突入し、自爆した日本陸軍の3名の工兵(江下武二、北川丞、作江伊之助)のことです。彼らの行為は「軍国美談」として大々的に報道され、大きな熱狂と称賛を浴びました。
その3人の銅像が建てられて、その除幕式には3人の母親を郷から呼び寄せて軍国の母でございますと、幕落としの紐を引かせたという信じ難いお話ですね。
腹を痛めて生んだ子が、爆弾を抱えて敵陣に突っ込む姿の銅像ですよ、まともな母親なら眼をそむけたくなる像に違いありません。軍国主義の時代が如何に狂気に満ちた世の中だったかが分かります。
でも、これが唯一ピカレスク的な顛末でしたね。
浅田次郎さんの小説は、例えるなら経験豊富なバリスタが淹れる、深みとコクに苦味が絶妙なコーヒーのようで、凡そチェーン店で出されるコーヒーとは全く別物のようなものでしょうか。
[青函ステークス(OP)]
いよいよ夏競馬も本格的に開幕を迎えますね。夏の福島が始まり、3場開催とも当分の間、右回り・左回り・直線の長短・内回り外回りを気にせずに、ひたすら右回りの小回りコースを考えればいいわけですね。
函館も雨で現時点では芝・ダートとも稍重発表。函館も3週目であり、洋芝は水捌けが余りよろしくないので、深夜まで降る雨の影響は明日も残りそうです。
ここは人気にもなりますが、53キロで函館新馬戦をレコードで制した◎ブラックチャリスに期待でしょうか。キタサンブラック産駒、洋芝の馬場が渋っても大丈夫と見ます。
人気サイドから入りますので、折角のハンデ戦で馬場も微妙なら、穴馬も拾っていきたいですね。
相手は内の枠から
ここ3走の内2走は不利もありながら着順ほど負けていないジョーメッドヴィン
出遅れなければ脚質自在なティニア
洋芝得意で前々の競馬で粘ればクファシルとマイネルレノン
差し脚がハマれば昨夏UHB賞だけ走ればサウザンサニー
逃げ粘れるか、今後は当分騎乗停止の岩田望来アメリカンステージ
重馬場は望むところかロードフォアエース
