朱川湊人 著『なごり歌』
きっと、また会える。あの頃、団地は、未来と過去を繋ぐ道だったから。三億円事件の時効が迫り、「8時だョ!全員集合」に笑い転げていたあの頃。ひとつの町のような巨大な団地は、未来への希望と帰らない過去の繋ぎ目だった。失われた誰かを強く思う時、そこでは見えないものがよみがえる。ノスタルジックで少し怖い、悲しくて不思議な七つの物語。ベストセラー『かたみ歌』に続く感涙ホラー。
★★★★☆
先般、新刊本は買うのですが、それ以上に過去読んでストーリーと結末が、ほぼ忘れかけている名作を読んでいると記しましたが、本作もその一つです。
朱川湊人さんが描く、昭和の時代の高度成長期に、雨後の筍の如く首都圏で出来た団地で起きた物語を連ねた連作短編集。7編の短編小説なのですが、その7編とも関連性があり、まとめて一冊の本という感じに仕上がっています。
ベストセラー『かたみ歌』の続編ですね。いつもながらのセピア色をしたノスタルジックなファンタジー色が濃厚なので、その雰囲気が好きなら安心して楽しめます。
朱川さんは私より年上なのですが、本作で描かれている時代背景は十分に分かるために、そのセピア色の情景を頭に思い浮かばせてくれるのは、不思議な世界に満ちる悲しさと切なさが心に刺ささりますね。『秋に来た男』と作中で描かれるマリアさんの運命は悲しいですねぇ。
ケータイもスマホも、自宅や職場にパソコンが無い昭和の時代を描く、朱川さんの作品は本当に面白いのでお薦めです。
同じく昭和の良き時代を描く重松清さんは、どちらかと言うと子供の視点からが多いのに対して、朱川さんは子供と大人の視点からの視点もあります。
余談ですが、先般、自宅のノート型パソコンを買い替えましたが、今は薄型が主流で、パソコン内にDVDマルチメディア対応内蔵型が少ないですね。
ネットフリックスにアマプラなどが主流になってきており、CDもDVDも不要となってきた傾向を反映したのでしょう。
でも、私の場合には、例えばテレビ版・松田優作主演『探偵物語』、以前NHKで放送していた英グラナダテレビ制作でジェレミー・ブレッド主演の『シャーロックホームズ』シリーズなどなど、DVD(とCD)が山のようにあるので、やはりマルチメディア再生型は必須です。
