死刑にいたる病
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。
それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和(はいむらやまと)からのものだった。
「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」
地域で人気のあるパン屋の元店主にして、自分のよき理解者であった大和
に頼まれ、事件の再調査を始めた雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るう
ち、雅也はなぜか大和に魅せられていき……一つ一つの選択が明らかにして
いく残酷な真実とは。
紀伊國屋書店にて、映画化の動画を観て購入を決めました。
書評を読むと、ディープなサイコキラー・シリアルキラー小説好きな方々
には、イマイチ物足りないようですが、いやいや十分に楽しめる一冊です。
簡易な文体でも軽薄感は全くなく、ストーリーにぐいぐいと引っ張れる感
じはミステリーそのもの。最後の最後に出て来るオチも「あぁ、なるほど
そういう事か ...。」というもの。なかなか力量のある作家ですね。
登場人物のキャラクターも、適度な脚色と変化球によって読む人をその世
界に引き込んでくれます。
筧井雅也と加納灯里の将来は、明るいものか、それとも受け継いだ遺伝子
で、親の二の前になるのか ...、つい考えちゃいます。
題名は内容を鑑みると、キルケゴールの「死に至る病」に、ひっかけたの
かな。
★★★★☆