一律『1日6万円』実態にあわず…飲食店は
緊急事態宣言が再び出される中、飲食店からは時短要請に応じると支給され
る一律『1日6万円』の協力金に、「実態にあっていない」と不満の声もあ
がっています。
◆居酒屋が鮮魚店に!?コロナ禍で“業態転換”
先週、東京・渋谷区の居酒屋『魚まみれ眞吉 神宮前 本館場末店』に向か
いました。肉厚なホタテに金目鯛などが並んでいますが、実はここ、居酒屋
が始めた鮮魚店なのです。
さらに、同じ系列の東京・港区の居酒屋『すし屋眞吉 新橋店』は、このコ
ロナ禍で、別の工夫も。去年10月、居酒屋より客が入ると見越して強みの
魚を生かせる「すし店」に業態転換しました。
フィッシュウェル 日紫喜智社長「同じ事やってちゃいけないなって。何で
もとにかくチャレンジしなきゃいけないと思って」
しかし、緊急事態宣言で政府は飲食店などに、夜8時までの時短営業を要請。
東京都などでは、政府の雇用調整助成金などの他、時短要請や休業に応じた
中小事業者には1店舗につき1日6万円、ひと月最大186万円の協力金を
支払うとしています。
一方、日紫喜さんのすし店の1か月の運営を見てみると、家賃150万円、
従業員9人の人件費がおよそ160万円。他に水道・光熱費なども合わせる
と固定費だけでも400万円以上かかるのですが、日紫喜さんの受け取る協
力金は1店舗186万円。とても足りないといいます。
フィッシュウェル 日紫喜智社長「6万円というのは正直、厳しいですね」
◆『昼もだめです』。僕ら、どうしたらいいんですか?
さらに、1月13日、菅首相が──
「不要不急の外出については日中も控えていただくようお願いをいたします」
フィッシュウェル 日紫喜智社長「時短になって『行くな』ってなって、今
度は『昼もだめです』。もう僕ら、どうしたらいいんですか」
結局、時短営業をしても赤字経営で採算がとれないとして、日紫喜さんは今
週から、1店舗を除いて休業を決めました。
城南信用金庫の調査でも飲食店から悲痛な声が。
「4月の新卒採用をする予定だったが、やめることにした」
「借り入れも行い、店と従業員を守るために貯金も使い果たした。もう閉店
するしかない」
◆老舗料亭も苦境に…1か月の固定費だけで5000万円以上
苦境に立たされているのは有名料理店も同じです。老舗料亭「菊乃井」を経
営する村田主人もその一人。
老舗料亭『菊乃井』村田吉弘主人「(6万円は)ありがたいことはありがた
いんです。けれども、それってちょっと少ないんちゃうと。業態に応じてそ
れぞれちゃんと税金もそれだけ払っているわけですから」
京都の「菊乃井」本店は、1か月分の固定費だけでも1店舗で5000万円
以上かかるといいます。
◆東京都で大手企業も協力金の対象に…今後は
こうした中、東京都でも大手企業が協力金の対象となり、1店舗あたり6万
円が支給されることになりました。従業員およそ11万人を抱えるファミレ
ス大手のすかいらーくも協力金の対象です。
すかいらーくHD・執行役員 西田浩蔵さん「大変感謝をしております。売
り上げや利益、または雇用する人数にも違いがありますので、(今後)雇用
実態に応じた支給制度をご検討いただきたい」
ロックダウンに踏み切ったイギリスでは、事業規模に応じた支援金が配分さ
れています。日本では事業規模に応じた協力金の給付では時間がかかるとし
て、今の時点では採用する動きはありません。
実態にあっていない支援策に、飲食店の苦悩は深まっています。
1日6万円。老舗料亭でもファミレスチェーンでも家族経営の居酒屋で
も、一律6万円なんですね。
例えば、客単価を1人 3,000円としますと、1日20人の来客を想定か。
しかし正常時と違い、仕入れはかなり減らせますので、ここはお得。
また、土曜日は営業していても日曜日は休む事業者は多いはずですので
お店を立ち上げなくても入ってくる休日の6万円は、丸儲けですよね。
個人的な感覚では、多くの居酒屋さんは、旦那さんと奥さんで切り盛り
している場合が多いのではないかな。
個人的には、恐らく一生行くことのない老舗料亭はいざ知らず、ファミ
レスチェーンのような人を雇うような店舗形式は、これでは苦しいです
ね、アルバイトさんに臨時雇用のような人達も働いていますので、雇用
調整に彼等の生活の問題もあり、なかなか難しいところです。
事業規模に応じない一律協力金はいいのですが、せめて家賃に応じた比
例配分ぐらいはあってもよかったのではないかな。
家賃は営業しようがしまいが、必ずかかってくる経費だからですね。
それに家賃で大凡の売上高(裏返せば納税額)も推計出来るからです。
どんなものでしょうか。