東京新聞コラム

競馬


こういう笑い話がある。地主が自分の土地にある池で釣りをしている男を見つけて大声
を出した。「そこの看板が見えないのか。<魚釣りを禁ず>と書いてあるだろ。罰金を
払えっ」。すると男が逆に怒鳴り返した。「この嘘(うそ)つきめ! 何時間たっても
一匹も釣れないぞ」



▼魚などいないのに「釣り厳禁」とは罪つくりな看板だが、国会で審議が本格化した
共謀罪」も、かなりうさんくさい看板だろう



▼魚釣りが法で禁じられた池で、腕試ししようと仲間と話し合う。釣り具を持って池まで
足を運んだが、気がとがめてやめた。それでも、違法な釣りを仲間と計画したのだからと、
罪に問うのが「共謀罪」だ



▼こんな乱暴な話はないと反発されて、過去に三たび廃案になった。そこで政府が考えた
策が、看板の付け替えだ。「共謀罪」を「テロ等準備罪」と変えたのだが、政府の当初案
では条文に肝心の「テロ」の文言が一つもなかったのだから、ひどい看板もあったものだ



東京五輪招致の際、安倍首相は「(東京は)世界有数の安全な都市」と大きな看板を掲げて
みせたのに、今は「(共謀罪など)法整備をできなければ東京五輪を開けないと言っても過言
ではない」



▼「テロ」の看板を掲げれば、皆ただ恐れをなし、「五輪」の看板を掲げれば、皆、賛成する
だろう−とは、ずいぶん国民を見下した「看板政治」ではないか。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017040802000157.html



一回、無慈悲なテロリストに、東京新聞中日新聞の本社が
襲われて、甚大な被害でも出れば、考え方も変わるでしょう。