MERS:危険性は? 日本の水際対策は?
Q&A 20カ国以上で患者、有効治療薬なく
MERSの特徴や感染防止策をまとめた。
Q どんな病気?
A 2012年に初めて報告された新型の感染症です。主に中東で広がり、その後に欧州で、
今年5月には韓国で確認されました。患者は発熱や下痢、肺炎などを起こし、腎不全に
なる人もいます。現時点でワクチンや有効な治療薬はなく、対症療法でウイルスが消え
るのを待つしかありません。潜伏期間は2〜14日間と考えられています。
Q どのくらい危険?
A 世界保健機関(WHO)の調査では、1日までに20カ国以上で1150人の患者が確認
され、少なくとも431人が死亡しています。致死率は単純計算すると約4割と高く、
WHOは「全世界への脅威」と警鐘を鳴らしています。厚生労働省も1月、感染力や危険性
が高く、早急な届け出が必要な「2類感染症」にMERSを位置づけました。
ただ感染しても症状が表れない人もいて、実態がつかめていません。
Q 感染経路は?
A 原因はウイルスです。ヒトコブラクダが感染源の一つと疑われていますが、人から人へも
うつります。経路はよく分かっていませんが、構造が似ている重症急性呼吸器症候群
(SARS)のウイルスはせきやくしゃみ、排せつ物などを介して感染します。
人から人へ次々に感染することはないとみられていましたが、ウイルスが感染しやすく変異
した可能性も懸念されています。
Q 日本にウイルスが入るのは防げる?
A 空港などで、入国者の健康状態をチェックする「水際対策」が重要になりますが、潜伏期間が
ある以上、完全に防ぐのは困難です。03年のSARS流行時も、体温を自動測定するサーモ
グラフィー設置などの対策強化をしたものの、すり抜けとみられるケースがありました。
感染予防策として、厚労省は発生国に行った時に動物との接触を避けることなどを呼び掛けて
います。
→ http://mainichi.jp/feature/news/20150602mog00m040011000c.html