いったい誰が「イスラム国」に身代金を払っているのか
「鬼畜の所業」という月並みな表現が、これほどふさわしい蛮行が他にあろうか。
「イスラム国」に拘束されていた湯川遥菜さん、後藤健二さんとヨルダン軍パイロットを殺害した
とする画像がインターネットで公開された。犯人は必ず法と正義の裁きを受けなければならない。
2億ドル(約238億円)という途方もない額の身代金要求に応じるわけにはいかなかった。
亡くなった方にはまことにお気の毒だが、犠牲を忍ぶのは日本政府にとっても苦渋の決断だったろう。
それにしても不可解なのは、テロを許さない、という合意があるにもかかわらず、同じイスラム国に
人質を取られた一部の国が、身代金を支払っていると伝えられていることだ。
有志連合による空爆の影響で弱体化しているとはいえ、彼らはなお活発に活動している。
資金は、原油の密輸、住民から徴収する「税」、そして身代金といわれる。
国連安全保障理事会の昨年11月の報告書によると、イスラム国はこれまで、3500万〜4500万
ドルの身代金を手中にした。
いったい誰が払っているのだろう。
米国内の報道によると、これまで各国から20人以上が人質となっている。
米国、英国はいずれも身代金支払いを拒否、ジャーナリストらが犠牲になった。
これに対して、欧州の一部の国々は支払いに応じたのではないかという報道が内外のメディアでなさ
れている。たしかに何人かの人質が解放されてはいるが、身代金と引き換えという証拠はない。
一昨年、アイルランドで開かれた主要国首脳会議(ロックアーン・サミット)の宣言は、アルカーイダ
関連及び他の世界的規模のイスラム過激派グループが過去3年間で集めた身代金を数千万ドルと見積もり、
今日あることを予想してか、「国連決議に基づき、テロリストに対する身代金の支払いを全面的に拒否
する」と明確に謳(うた)った。
もし、サミット参加国が身代金を払っているならば、宣言への重大な違反だ。
どのような形で支払われるのか。ことがことだけに、つまびらかではないが、人質解放のために契約した
コンサルタントへの手数料が流用されたり、別の名目でさまざまな団体を経由しているなどといわれる。
日本では、過去はともかく、現在はテロリストに身代金を支払うことは許されないという自戒が強い。
そういう意識を植え付けたのは、1977年秋のダッカ事件だ。日本赤軍グループに乗っ取られた日航機が
バングラデシュのダッカに着陸、600万ドル(当時のレートで約16億円)の身代金と、日本で勾留中の
仲間の釈放を要求、拒否するなら乗客を殺害すると脅迫した。
日本政府は厳しい判断を迫られ、「人の命は地球より重い」という当時の福田赳夫首相の決断でこれを受け入れた。
同様の事件が起きたとき、必ずしも各国は身代金支払いを拒否していたわけではなかったともいわれるが、日本の
場合、収監中のテロリストを釈放したこともあって、「テロも輸出するのか」と海外から批判された。
日本にとっては、それが長い間のトラウマになってきた。今回、身代金支払いを拒否したのは、テロに屈しない
との決意に加え、そういう背景もあったのではないか。
だからこそ、今でも一部の国が身代金を支払っているのではないかと聞くにつけ、良心の呵責にさいなまれ続けて
きた日本が、割り切れなさを感じるのは、ごく自然なことだろう。
断っておくが、日本も身代金を払うべきだったと言っているのではない。むしろ、各国が毅然として立ち向かい、
テロリストを利すことのないように足並みをそろえることを強く求めるべきだ。
より強制力を強めて身代金支払いを禁じる世界的な枠組みを改めて考えるなどというのも一法だ。
しかし、「テロに屈しない」という強い決意を各国が持ちさえすれば、そんなものは一切必要ない。
問題は、苦渋を伴う重大な決断ができるかどうかだ。
→ http://www.sankei.com/world/news/150210/wor1502100014-n1.html
これまでイスラム系過激派テロ組織などに自国民を捕えられ
身代金を払った国は、フランス、イタリア、ドイツ、スイス
のみならず、英国も支払ったことがあります。
いずれも人命には代えられない、と。
しかし、イスラム国は別です。特別です。
その残虐さと残忍さをウリに人質を取っては好き勝手な要求を
します。応じなければ、残酷な処刑動画を世界に向けて発信。
許すことは出来ません。
噂では、フランス、イタリアあたりがISISに“身代金”を
払って人質を解放されたと言われています。
身代金といっても、“コンサルタント料”とか“相談料”などの
仲介者を通じてのものですね。ハードキャッシュは以ての外。
このような連中に金を渡すことは、その活動を側面から支援する
ことになります。
人質にならない手段は、先般外務省が取ったような措置ですね。
パスポートを取り上げることでしょう。
本人は死んでもいいと言ったところで、人質になってしまえば
政府は無視できません。世論は冷たくても、政府はそういうわけ
にはいかないのです。
政府に余分な負荷をかけるのは国益を損じます。