持たざるリスク?

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日本株再び上昇基調、外国人投資家はこう見る



膠着していた日本株相場が再び上昇基調となり、外国人投資家の動向に注目が集まっている。
メリルリンチ日本証券は12日まで、国内外の機関投資家向けセミナーを都内で開催。
来日したヘッジファンドや資産運用会社の担当者に注目企業や投資戦略を聞いた。



■「企業の純現金収支に注目」加マニュライフ



マニュライフアセットマネジメントのエドワード・T・マラキーニ氏
カナダの大手生保系運用会社、マニュライフアセットマネジメントのポートフォリオマネジャー、
エドワード・T・マラキーニ氏

 

――どんな投資スタイルを採っていますか。
「日本を含めたアジアや欧米の企業投資に20年以上携わっているが、投資手法は基本的に変えていない。
私は主に(1)業績などファンダメンタルズ(基礎的条件)(2)強い貸借対照表(バランスシート)(3)純現金
収支(フリーキャッシュフロー)の3点に注目している」

 

――日本企業をみる上での注目点は。
「純現金収支だ。純現金収支は営業活動で稼いだ収支(営業キャッシュフロー)と投資活動の収支(投資
キャッシュフロー)を合計したものだが、日本企業の純現金収支は拡大を続けており、手元資金は増加傾向
にある。ただためるのではなく、資金を成長に向けた投資や事業展開に使ったり、投資家への配当に回したり
する企業を高く評価している」

 


「投資といっても闇雲に工場を新設するのではなく、現在の古い工場を新しくするなど効率的な資本活用が
重要だ。ここ5年間は企業投資が縮小していたため、その分、日本企業の投資余力は大きいとみている」

 

――海外投資家は自己資本利益率(ROE)への関心が高いと聞きます。
「注目指標の1つだ。当然ながらROEが高い企業には高評価を与えている。日本企業のROEは世界平均と
比べて低く、足元の水準からどの程度改善がみられるかも、今後の投資を考える上で一つの判断材料となる」

 


――日本経済の見方はどうですか。
「一時期より日本経済は明らかに上向いている。その中で、向こう半年間で以下の点がカギを握るとみている。
(1)個人の消費支出が改善するか(2)従業員の給料が伸びるかだ。
2点の行方次第では市場関係者の関心が高い『アベノミクス』への期待がしぼむだけでなく、日本経済の先行き
にも不透明感が出かねない」



マニュライフアセットマネジメント カナダの大手生保系運用会社で世界17カ国に運用拠点を持つ。
6月末時点での運用総資産は2810億ドル(約28.5兆円)。運用地域は全体の59%が米国、23%がカナダ、日本
を含むアジアが17%だ。資産は債券で33%で、株式で31%を運用する。



■「ソフトバンクがお気に入り」 豪ヘッジファンド



ベルアセットマネジメントのネッド・ベル氏
オーストラリアを本拠とするヘッジファンド、ベルアセットマネジメントのチーフインベストメント
オフィサー、ネッド・ベル氏

 

――日本経済をどのように評価していますか。
セミナーへの参加は数年前に続き2回目だが、その時と比べ日本経済は回復基調にあると感じている。
アベノミクスなどを背景に円安が進んだことで、輸出企業の業績が改善し、日本経済全体にも追い風となった。
ただ、日本経済の先行きについて楽観視はしていない。成長路線は今後も変わらない見通しだが、世界的な
国内総生産(GDP)の伸びを上回るほどの勢いには欠けるだろう」

 


――関心の高い企業はありますか。
ソフトバンク(9984)だ。私の運用会社は2012年夏から投資している。投資する決め手となった一つの要因は
当時、他の企業と比べソフトバンクが過小評価されていると感じたためだ。
また、出資する中国電子商取引大手、アリババ集団の株価がほんの少し前まで適正に評価されていないと判断
していたことも背景にある。ソフトバンクの業績は好調に推移しており、現時点でお気に入りの銘柄の一つだ」


 

「大企業だけでなく、高い技術や収益性を誇る中堅・中小企業も投資対象だ。例えば、現在は保有していないが、
医師用情報サイト運営のエムスリー(2413)は興味深い企業の1つだった。
何度か企業側と面談したが、成長を続けながら高いリターンを見込める点が魅力的だった。こうした企業を発掘
したいと考えている」

 


――投資先の決定で重要視する指標は。
自己資本利益率(ROE)が我々のカギとなる尺度だ。日本の株式市場で上場企業のROE(13年度の東証1部
の平均は8.6%)が向上し、世界平均との差(ギャップ)が縮まれば、日本株は他国の市場よりも収益が上がるだろう。
今回私がこのセミナーに出席した大きな理由の一つは、国内企業が企業統治コーポレートガバナンス)やROE
の強化についてどのように考えているかを知りたかったからだ」



ベルアセットマネジメント 1997年設立で、本拠地はオーストラリア(豪)のメルボルン
豪州に加え北米や欧米、アジアの企業などを投資対象とする。
現在、5億豪ドル(約490億円)を株式で運用している。




→ http://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXLASFL12H69_12092014000000


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東京市場等における外国人投資家のシェアは金額ベースで60%前後。
彼らの動向一つで日本の株式市場が揺り動かされます。
日本の生保・損保などのポートフォリオは、海外同業者と比較して
株式の占める割合が低いこともあるでしょう。
例えばポートフォリオで株式の割合が10%で決められると、株価が
上昇し、10%割合を超えると、その超えた分を売りに出して
ポートフォリオの「10%」を守る姿勢です。 逆もまた然り。
日本の機関投資家のスタンスは損は出さない堅い、公社債投資です。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が
株式投資を積極的に行うようですが、どんなものでしょう。
株価が上がれば、“持たざるリスク”が頭をかすめる機関投資家
少なくないでしょう。