対岸の火事であってください

競馬

『T−山本の短機損機』 
対岸の火事か、他山の石か


 日銀政策決定会合やギリシャ再選挙、米FOMCなどを目前に控え、動くに
動けない相場が続いています。日経平均こそ8500円台をキープしているものの、
今週に入って売買代金の1兆円割れが続き、様子見ムードが蔓延しています。


 欧州債務危機の行方は混沌としていますが、ここのところユーロ圏での預金
流出のニュースが何度か流れており、これは過去にはあまり聞かなかった話で
す。それだけ事態が深刻ということでしょうが、対岸の火事と眺めていても良
いのでしょうか。


 何度も言われていますが、我が国の債務残高の対GDP比は200%をはるか
に超え、ギリシャやイタリアのそれを大きく上回っています。しかし長期金利
は低下の一途を辿り、0.8%台まで長期国債は買われています。「安全資産」と
の評価に対し、藤巻健史氏は「欧州より日本の国債が心配だ」と、国内保有
93%もあり、市場原理が働かない我が国債券市場に警鐘を鳴らしています。


 国会では社会保障と税の一体改革法案を巡る協議が大詰めを迎えています。
法案成立が即財政改革に直結するわけではありませんが、少なくとも日本の政
治がポピュリズムから脱し、将来を見据えた財政健全化に舵を切ったと評価さ
れるでしょう。国債バブルを弾けさせないためにも、欧州危機を「他山の石」
と捉えることができる野田首相の下で、何とか乗り越えてほしいものです。


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