原発一本槍の自治体は・・・

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人も金も街から消え…「地元経済は壊滅だ」
原発城下町・御前崎、覆う悲壮感


「地元経済は壊滅だ」。
中部電力浜岡原発の全面停止を決めた9日、地元の静岡県御前崎市では悲鳴が上がった。
市財政の4割以上を原発関連の交付金で賄う“原発城下町”。
交付金支給は維持される見通しだが、全面停止が地元経済に打撃となることは確実。
住民らには、東海地震が引き金となる原発事故への懸念が薄れる安堵がある一方、街の活気が
失われることへの不安の気持ちも大きい。


交付金穴埋めを

「国の判断でトラブルのない原発を止めるんだから交付金は百パーセント穴埋めしてもらいたい。それが筋だ」。
原発停止に伴う収入減額の洗い出しに奔走する御前崎市の幹部職員は声を荒らげた。

 
同市では一般会計約167億円のうち、42・4%と半分近くを原発関係の交付金に依存。
原発が止まれば、財政運営で厳しいかじ取りを余儀なくされる。

 
すでに今回の震災後、中部電が計画していた浜岡原発6号機の新設は頓挫。
市では国からの交付金8億4千万円の申請を見送り、今年度当初予算の減額補正作業に追われている。

 
8日夜には、海江田万里経済産業相から石原茂雄市長に電話で、「交付金は従来通り」と説明があったという。
しかし、交付金制度には複雑な仕組みがあり、現場では混乱が広がる。
例えば、操業実績に基づいて支払われる交付金のうち、発電量から算出される交付金は「計算上ではなくなる」と市幹部。

 
▼「見えぬ損害」確実

「なぜ浜岡だけなのか。すべての原発が危険なはずだ」などと、当初は憤っていた石原市長。
ただ、9日夕には、「総理の判断を重く受け止める。(停止は)中部電の判断で良い」と冷静に反応してみせたが、
多くは語らなかった。


交付金の問題以外にも、原発停止に伴う地元の雇用や経済の冷え込みによる税収減といった「見えない損害」
(市企画財政課)も確実だ。担当職員は「急を要する政策には、財政調整基金を取り崩して手当てするしかない」と説明する。
石原市長は「雇用から経済、企業誘致。すべて厳しくなる」と吐き捨てた。

 
▼広がる住民不安

川勝平太静岡県知事は9日、「中部電の経営陣に深い敬意を表す。重い決断をした同社を支えるべく、ライフスタイルを
見直して節電に努めていきたい」とコメントした。

 
地元では「東海地震がいつ来るか分からないなかで、“万が一”を考えれば安心できる判断だ」と国や中部電の決断を
歓迎する声もある。

 
一方で、人口約3万5千人の御前崎市には、地元住民約1200人(4月1日現在)が中部電とその協力会社で働いている
という現実がある。下請け企業などを含めると、何らかの形で原発にかかわる地元住民は3千人近くに上る。

 
原発関係者の出入りも地元経済を支えている。市内のホテル「くれたけイン御前崎」では、定期点検時には100社を
超える原発関係の長期宿泊客で満室状態。
蔦林良支配人(48)は「震災後に客足は激減。原発が止まったらこの街に人が来る理由がない」と話す。

 
「もう来なくていい。明日にはそう言われるのかも」。原発関係の作業員を常連客に持つ飲食店では、失業を恐れる作業員
らの“悲鳴”が聞かれる。
この店の男性経営者(67)自身、30年前に原発に伴う再開発に合わせ、東京から越してきて開業した。
「地元経済はこれで壊滅です」。なすすべのない展開に肩を落とすしかなかった。


→ http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110510/lcl11051000030000-n1.htm



あー、まぁ御前崎市の言い分は解らないではありませんが、ちょっと甘えてますな。
原発関係の交付金で一般会計42.4%を頼るとは、余りに安直過ぎですね。
その原発という大黒柱に今回のような“もしも・・・”の事が起きた場合など、
考えていなかったようですね。
収入は原発一本槍で、他の自治体のように懸命に地元で二次産業・三次産業を育てたり、
企業誘致に奔走するなどに取り組まなかったことに対する、ある意味、自業自得の面が
無きにしもあらず、と考えてしまいますね。
交付金交付金!”と、電力会社や国(税金)に頼るしか能がないのかしら?
一体「地方自治」とは何なんでしょうかねぇ?御前崎市の幹部に聴いてみたい気がします。



【参考】


自動車集積の中部製造業に打撃
主力工場が集積する自動車最大手、トヨタ自動車にトリプルパンチ


 中部電力浜岡原子力発電所が、稼働中の全面停止を要請されるという異例の事態で、
電力供給不足懸念が現実となれば、中部地域の製造業に打撃を与えることは確実だ。
特に主力工場が集積する自動車最大手のトヨタ自動車は、部品調達難による減産、
円高、海外市場でのシェア低下などの問題を抱え、電力確保が新たなリスクとして重くのしかかる。


 トヨタはおひざ元である愛知県など、中部地域に9工場を持つ。国内に17ある
工場の半数以上だ。
 トヨタは、東日本大震災への対応として、東北地域の2工場で、平日2日を休業とし、
代わりに土曜、日曜を稼働させる「業界輪番休業」で、東京電力管内で予想される
電力供給不足に対応する方針だ。


 今回、中部電力でも電力不足になる可能性が高まり、トヨタは「輪番休業を(中部でも)
やらざるを得ない」(トヨタ幹部)として検討を余儀なくされた。その場合、
「休日出勤手当などが必要で、コスト高を強いられる」(自工会首脳)と負担になる。


 トヨタは、震災による部品調達難で、国内工場の稼働率は約5割にとどまる。
本格回復は「11月〜12月がめど」(豊田章男社長)と、業績への圧迫も懸念される。


 減産の影響で、稼ぎ頭の北米、中国市場でのシェアを落としている上、5月に入って
一時1ドル=79円台をつける円高と、激しい逆風にも見舞われている。ここに中部地域の
電力問題で、コスト増が加われば、業績への打撃は大きくなる。


 中部地域には、スズキやホンダなどの自動車完成車工場、自動車部品メーカー、
ヤマザキマザックなどの工作機械メーカー、ソニーのテレビ工場など、大型工場が集積している。


 中部電力の電力供給の約4割は大規模工場を抱える製造業など大口向けが占め、
電力供給不足が現実となれば、各社にとって深刻な問題となる交通の大動脈である東海道新幹線への
電力供給も問題視される中、物流を含めて、影響が日本全体に広がることは避けられない情勢だ。


http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110507/biz11050720530013-n1.htm