格付け機関に騙されるな!

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国債格下げに過剰反応した菅政権 
増税ムード高まることが心配


格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月27日、日本国債格下げを発表し、
それにマスコミの話題が集まった。

 
正直言って、格付け会社の意見に対してこれほど過剰に報道することもないというのが感想だ。
格付け会社の意見は、専門的見地から中立的であるという前提があり、金科玉条のように扱うが、
それはちょっと実態とは違う。

 
かつて財務省は資本市場を監督していたが、その当時から、格付け会社は指定格付け機関として
政府から「指定」されるというステータスを5社だけが持っていた。
5社の中には、大手経済新聞の子会社や財務省から天下りを受けている会社もある。

 
格付け会社にステータスを与える監督官庁財務省であった。
その権限は今や金融庁に引き継がれている。
なお、2010年から指定格付け機関制度が廃止され、登録制の信用格付け業者制度に移行した。

 
外資格付け会社財務省やその分身である金融庁とそれほど深い関係ともいいきれないが、
それでも財務省金融庁から「指定」を受けてきたという事実は重い。

 
分析内容もそれほど深くない。
かつて私は財務省時代に国債課に勤務したこともあるが、かなりいい加減な事件があった。
国債格付けは債券回号ごとに行われるのだが、資金調達不要になって休債したのに格付けされ、
世界に配信された。要するに格付け会社は何も見ないで格付けしているのだ。

 
さすがに、そのときは米国の本社からお偉方がわざわざ日本まで謝罪に来た。
ついでなので、国債の格付けをするときには予算書を読んでいるのかと質問したら、読んでいない
という返事だったので驚いた。

 
格付け会社の意見は将来のリスクなので、もともと担当者の主観的な要素が大きい。
ちなみに、先般の世界金融危機において、格付け会社のリスク評価が甘過ぎたという批判は根強い。
米国で格付け機関の幹部たちが自分たちに責任はないと逃げ回るテレビシーンは、一般の国民の
記憶に残っているだろう。

 
今回、日本国債が格下げされたが、日本の政権の状況を見ていいタイミングで話題を提供したと思う。
この点では格付け会社もマスコミの一種というべきだろう。

 
それに対して、菅直人首相は「疎い」し、与謝野馨経済財政担当相は「増税を催促するもの」と
発言した。格付け会社の意見で大騒ぎすることもないが、図らずも菅政権のお里が知れる結果に
なったのは、何とも皮肉なことだ。

 
おそらく他の格付け会社も今回の動きに追随するだろう。
それは実体経済には一時的な影響しかないが、それで増税ムードが高まる方が心配だ。



→ http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110202/plt1102021526001-n1.htm


サブプライムローン問題やリーマンショック時に、いわゆる“格付け機関”の
いい加減さが白日のもとに晒されましたよね。 まだ記憶に新しいところです。


『全ては最高のAAA』


2004年8月、格付け会社ムーディーズは基準の甘い新しい格付け方法を導入し、これが金融機関で
モーゲージ担保証券が優先されて顧客たちに販売される結果になった。
2週間後、遅れては大変と、スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P社)も格付け方法を変更した。


2002年から2007年の間に、ウォール街は、3兆2000億ドルに及ぶサブプライム住宅ローン
(主に低所得者を対象にした住宅ローン)をモーゲージ担保証券化し、AAAという最高の格付けを
ムーディーズとS&P社から得た。


「AAAという格付け無しでは資金が流れ込んできません。
S&P社とムーディーズがしたことは、単に顧客を満足させただけでなく、顧客が要望する格付けを
与えていたのです。」 ジョセフ・スティグリッツ氏(コロンビア大学教授)
  


「新格付け方法は、投資銀行に都合が良いように作られた、いい加減な方法です。
言い換えれば、新格付け方法が、どん底へのレースを開始させたのです。」
トンコ・ガスト氏(ダイナミック・クレジット・パートナーズ)


→ http://www.breakscan.com/usmw/archives/2008/0927.php#Recap