極東物語「異形の大国」

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「中国」という妖怪が徘徊…


このところ、欧州の政治家、外交官、専門家との懇談晩餐、昼餐に呼ばれることが多い。

 
話が「センカク」に及ぶや、決まって談論風発となる。
ただし、焦点は、中国漁船衝突事件で日本が取った対応よりも、中国が見せた振る舞いと、
その将来の国家像である。
日中関係などをめぐる米欧主要都市での会合でも、日本は中国との関係においてのみ
取り上げられて、関心は中国に集中しているらしい。

 
中国は、米欧日が足を取られている2008年リーマン・ショック後の不況の深みから
易々と脱し、再び高度成長軌道をひた走りだした。
国際的に怪訝な振る舞いが目立ち始めたのはそのころからである。

 
最初の顕著な兆候は09年12月、コペンハーゲンでの気候変動会議で現れる。
中国の温家宝首相が協議を申し入れた唯一の超大国、米国のオバマ大統領に肘鉄を
食らわせたうえ、外務次官が欧米を罵倒した。
世界の隅々でなりふり構わず資源を漁り、尖閣事件や民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞
受賞で激越な反応をむき出しにし、韓国砲撃後もなお北朝鮮をかばい立てしている。

 
通底するのは、他国など意に介さないとの「奢り」のようにみえ、経済発展が民主化
促すという方程式も通用しそうにない。
重商主義的、国家主義的な相貌を見せる「異形の大国」にどう対処するのか。

 
中国との戦略経済対話を包括的にと意気込んだオバマ米政権の対中姿勢も、厳しめに
転じている。大統領がインドを訪れてその国連安保理常任理事国入りを支持したのも、
第四の人口大国で経済好調なインドネシアを訪問して関係を強化したのも、目下、
黄海に空母を繰り出して韓国との合同軍事演習をしているのも、民主主義諸国や
同盟国との連携で中国を抑える狙いからである。

 
欧州はしかし、まだ「極東という対岸の火事」感覚だ。
だから、欧州の人には中国にどうお相手するかは地球規模問題、あなた方の問題でも
あると説くようにしている。


→ http://sankei.jp.msn.com/world/china/101130/chn1011300744004-n1.htm


異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない (新潮文庫)

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