小沢氏 選挙結果次第では離党か引退か?

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政治にノーサイドはない 


いよいよ民主党代表選が始まった。二十余年にわたって永田町を取材してきたが、これほど緊張感の
ある党首選は、平成13年に当初劣勢だった小泉純一郎氏が、橋本龍太郎氏らを破った自民党総裁
以来である。

 
今回は、菅直人首相と小沢一郎前幹事長のどちらが勝つか現時点ではまったく予断を許さない。

 
そればかりではない。民主党のみならず、永田町全体が浮き足立っている。
代表選の結果次第で、民主党分裂を引き金とした政界再編に発展する可能性が極めて高いからだ。

 
ご両人とも民主党分裂は「あり得ない」と強く否定している。
確かに、2人が会談で「選挙後の挙党一致」を確認した以上、14日の投票日直後に民主党が割れるとは
考えにくい。だが、党内では両派の間に不信感が渦巻き、同じ政党の同志とはとてもいえない埋めがたい
溝ができてしまっている。

 
菅首相は、1日公表した政見のトップに「クリーンでオープンな民主党の原点へ」とのキャッチフレーズ
を据えた。小沢氏が党首や幹事長時代の民主党は「クリーンでオープン」でなかったと批判しているのと
同義である。

 
何人もの秘書が検察に逮捕され、「政治とカネ」の問題がつきまとう小沢氏が面白かろうはずはない。
「国民主導の政治を実行する」と政見で強調したのは菅首相を全否定したに等しい。

 
菅首相は、今回の代表選を明治10年に起きた西南戦争になぞらえているという。
小沢一郎氏は不平士族に担がれて討ち死にした西郷隆盛というわけだ。

 
首相が大久保利通のように政策通で、小沢氏が西郷隆盛ほどの人徳があるかどうかは別にして、これまで
彼が得意としてきた政治手法は、海部、細川、羽田、鳩山の4政権を党からコントロールした間接統治型
である。この方式なら首相が失敗しても「政府のやることに口出ししていない」と言い訳でき、権力を
長く維持できた。

 
しかし、今回は首相に不満を募らせた山岡賢次氏ら小沢グループに熱心に口説かれたとはいえ、自らが
前面に立つ道を選んだ。

 
彼の決断の背景にどんな事情があったのかは、1日の会見を聞いただけではよくわからなかった。
掲げた政策をみてもマニフェストを実現させるための必要な財源について「国家予算207兆円の全面
組み替えを断行する」と主張するのみで、具体性に乏しい。

 
それでも本人が傀儡を立てず、自ら首相となるべく立候補したことは、評価できる。
権力の二重構造は、彼が党を牛耳っていた鳩山政権など4政権が証明するように短期間で破綻しやすい。
仮に代表選に勝利し、首相に就任すれば「剛腕」といわれた政治家の真価が誰の目にも明らかになる。

 
逆に敗れれば、粛々と離党するなり、引退するのが筋だろう。

 
約20年間にわたって政界の主役であり続けた「小沢一郎」を肯定するか否定するかを問う今回の代表選は、
日本政治のこれからに大きな意味を持つ。
民主党内では、鳩山由紀夫前首相のように党分裂を恐れる議員も多いが、徹底的な論争をして党が割れるなら、
それもまた致し方あるまい。

 
小沢氏の理解者である西岡武夫参院議長は「現職をけ落とそうとするのだから、敗れた場合の立場は惨めで
なければ理屈にあわない。党を去ることも選択肢に入る」と語ったが、けだし正論である。
政治にノーサイドはない。


→ http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100902/stt1009020332004-n1.htm


この代表選挙にノーサイドはありません。
あるのは Winner takes all と埋め難い遺恨だけですね。