小沢氏が総理になる資格はない

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小沢氏出馬 国の指導者に不適格だ 
「政治とカネ」で信頼失った


「とことんクリーンな民主党」を実現すると鳩山由紀夫前首相が、小沢一郎前幹事長とともに身を
引いてから2カ月余りで再び小沢氏を担ぎ出す所業には、開いた口がふさがらない。

 
小沢氏は東京第5検察審査会から「起訴相当」の議決を受け、再度同じ議決が出れば強制起訴される。
一連の疑惑を晴らそうとせず、国政の最高指導者を目指す姿には、強い疑問を呈さざるを得ない。
25日の講演でモラルの破綻に言及したが、信なくば政治は成り立たない。
日本の最高指導者として不適格なことは明白である。

 
■「訴追逃れ」では論外

 
代表選は小沢氏と菅直人首相の一騎打ちになる情勢だ。
首相も参院選で大敗したのに、なぜ続投するのか。説得力ある説明に欠ける。
さらに両氏以外の選択肢もなさそうな点に、日本が滅亡の淵に立つ窮状が示されている。

 
小沢氏は野党の再三の証人喚問要求を拒み、説明責任を果たしてこなかった。
役職辞任というけじめはつけても議員辞職に相当するとの厳しい批判があるなか、政治的・道義的責任
を取り切ったとは言い難い。そのうえ刑事責任の有無を今も審査されている。

 
小沢氏の出馬について、強制起訴を逃れることが目的ではないか、との指摘が党内外にある。
憲法75条が「国務大臣は首相の同意がなければ訴追されない」と定めていることから、首相になること
で「政治とカネ」の問題に決着をつけようというものだ。

 
だが、憲法は「すべて国民は法の下に平等」(14条)ともうたっている。
そのような意図を疑われること自体、為政者たる資格はないだろう。

 
小沢氏サイドから「仮に首相になったとしても東京地検特捜部の再聴取に応じる」との考え方が示されて
いるが、そもそも捜査の対象となる人物を首相に押し立てること自体、理解しがたい。

 
小沢氏が中央突破の姿勢を貫こうとすることは、法治制度の根幹を揺るがしかねない。
小沢氏とすべての民主党議員が、はっきりと認識すべき点だ。

 
小沢氏は出馬を固めた理由の一つに、首相が挙党態勢作りを拒否したことを挙げた。
「小沢氏はしばらく静かにしていた方がいい」と述べた首相が、党人事などを通じて実際に「脱小沢」の
姿勢をとったことへの不満である。

 
小沢氏側の意向を鳩山氏が菅首相に伝えたものの受け入れられず、代表選での対決に踏み切った。
このような主導権争いや政治的地位を保つための権力闘争は「私闘」ともいえ、情けない。

 
昭和60年、衆院議院運営委員長だった小沢氏は政治倫理審査会の「生みの親」だ。
同時に政治倫理綱領を「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明」すると定めた。
平成5年の著書「日本改造計画」では、政治資金規正法の違反者に対して「言い逃れを封じるための連座
制の強化」などを挙げ、規正法改正を実現してきた。

 
その小沢氏が国会で説明もせず、規正法の網を巧みにすり抜けているのでは、国民の政治不信が強まるの
は当然だ。

 
■早急に国民の信問え

 
密室談合による調整を進めてきた鳩山氏の行動も、あきれ果てる。
鳩山氏は母親からの巨額の提供資金の取り扱いをめぐる疑惑を招き、その使途に関する説明をまったく
果たしていない。
「政治とカネ」で国民の信を失った当事者だ。首相退陣後は政界を引退すると述べたこともあるが、
一体どうなったのか。

 
日本はいま、内政、外交ともに国難ともいえる状況に直面している。
経済面では急速な円高・株安への対応で、政府はなすすべもない。さらに、中国の軍事力の強大化が日本
周辺で脅威になっているにもかかわらず、米軍普天間飛行場移設問題の解決はいまだめどが立っていない。
日米同盟関係の空洞化は、日本の平和と安全を危険にさらしている。

 
党内の権力闘争に血道を上げている状況ではない。
参院選での敗北以降、責任を取らず、けじめもつけようとしない菅首相が、2カ月以上にわたる政治空白
を作っている。その政治責任は重い。

 
小沢、鳩山、菅3氏による政権たらい回しと無責任な対応は許されない。
だれが民主党代表となり、首相になっても早急に国民の信を問うことを強く求めたい。


→ http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100827/stt1008270317008-n1.htm