仁義なき戦い 民主党編

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菅降ろしvs続投派“血みどろ”抗争勃発 
民主代表選


菅直人首相が再選されるかが注目される9月の民主党代表選に向け、党内は嵐の予兆を見せている。
求心力を失った執行部が日程すら決めきれない中、「菅降ろし」のキーマン・小沢一郎前幹事長
がついに始動。その一方で、鳩山由紀夫前首相(63)が現時点で菅首相の再選支持を表明したのだ。
「現状では五分の戦い」(中堅)との声が強いが、消費税増税のほかにも国家戦略局の骨抜き問題が
争点として急浮上。国家の最高権力をめぐり、血みどろの戦いが始まった。

 
「菅さんは代わったばかりだ。すぐにクビをすげ替えることにはならない」
先週半ばの22日、鳩山氏がBS番組の収録で首相の再選支持をいちはやく表明。
さらにその夜には4選を決めた輿石東参院議員会長や小沢氏と都内で三者会談、24日午後には
菅首相と会食した。いずれも「代表選に向けた意見交換」や「多数派工作では」との憶測を呼んでいる。

 
鳩山氏が動きを加速する一方で、参院選後に雲隠れしていた小沢氏は21日、議員会館に現れて落選者
らと面会。大敗について「データ(の読み方)を間違うとああいうことになっちゃう」と首相を批判した
という。

 
小沢氏は菅首相に「しばらく静かにしてほしい」と現政権からパージされたこともあり、参院選後には
首相の面会要請にも応じていない。代表選に対抗馬擁立を模索しているとささやかれ、小沢氏本人のほか、
原口一博総務相海江田万里衆院議員らの名前が挙がっている。

 
党内最大の小沢グループ約150人、鳩山グループ約50人、参院を固める輿石氏が一致結束すれば
代表選の流れを決定づけるだけに、一連の動きで「代表選レースが本格化した」(民主党中堅議員)
といえそうだ。

 
菅首相サイドも負けてはおらず、仙谷由人官房長官が19日、鳩山氏と会談。
首相が小沢氏に面会を求めていたのは、早期に続投支持の言質を取りたいとの狙いもあった。

 
鳩山氏の仲介で菅首相が小沢氏に頭を下げて挙党一致、もしくは、反小沢の首相と親小沢による戦いで
鳩山氏がキャスチングボートを握る−。そんな構図になるのだろうか。

 
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「逆風にある民主党議員の心理としては、立ち往生と衆院の玉砕解散を
避けられる新代表を選びたい。菅首相では難しいのでは。
『国民に信を問う』といって参院選で敗れ、直近の民意にはねられた。野党との交渉もうまくいっていない。
本来なら無資格者だ。再選へのハードルは高い」とみる。

 
その代表選だが、今回は8年ぶりに党員・サポーター参加型の本格選挙になる予定だ。
票は、所属国会議員(413人)票が各2ポイントで、地方議員票は計100ポイントをドント式で
各候補に配分。党員・サポーターには300ポイントが割り当てられる。

 
5月末に登録を締め切った党員・サポーターの数は35万人で、政治評論家の浅川博忠氏は「小沢氏は
国会議員に新規サポーター1000人獲得のノルマを課したが、小沢系議員はほぼ達成し、非小沢系議員
は満たしていない人が多い。サポーター票では小沢グループが優位だ」と話す。

 
一方、鳩山氏が菅首相続投支持を表明したことで、現時点では議員票は首相優位と見る向きもある。

 
しかし、鳩山氏は参院選大敗について「重くのしかかったのは消費税だ。生煮えで出した反省をして
ほしい」と言明、国家戦略室を縮小する方針を示したことについても「簡単に外して欲しくない」と
首相批判も連発した。これは党内の異論そのままだ。

 
消費税増税については小沢氏に近い原口氏も、「無駄を削減せずに税金を上げるなんてあり得ない」と
一貫して慎重な立場だ。

 
さらに、ここにきて菅首相ら「反小沢系」の結束を破る“アリの一穴”になっているのが国家戦略室
の問題だ。これが「政治主導の後退」と非難ごうごうで、鳩山氏側近の松井孝治官房副長官が官邸
に乗り込み、「どこが政治主導でやっていくのか」と猛抗議したほど。

 
前原誠司国交相も「国家戦略局で(予算編成を)やると約束して選挙を戦った。それを変えるなら国民
に説明すべきだ」と批判している。
そのためか、「前原氏は9月にもカリフォルニア州アーノルド・シュワルツェネッガー知事に新幹線
を売り込みたい考えで、会談の見通しがついた段階で代表選に出馬表明する」という怪情報すら永田町
を駆けめぐっている。

 
そして今週から、国会は大いに荒れる。

 
29日の民主党両院議員総会や、30日召集の臨時国会では、枝野幸男幹事長の責任論や参院選で落選
したのに留任した千葉景子法相について党内外から追及されるのは確実で、内閣支持率がさらに下落する
可能性が高い。

 
菅首相は数々の難局を乗り切れるのか。


→ http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100726/plt1007261611005-n2.htm