規正法「政治家に好都合」…審査会が異例言及
「政治家に都合のよい規定になっている」。鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」
の偽装献金事件で26日、鳩山首相の不起訴を「相当」とする議決を公表した東京第4
検察審査会は異例の「付言」で、現行の政治資金規正法を「世間一般の常識に合致していない」
と厳しく批判し、法改正にも言及した。
審査会が問題視した規定は、「政治とカネ」を巡る過去の事件でも「立件するにはハードルが高すぎる」
と指摘されており、国会が法改正に動くのか注目されそうだ。
政治資金規正法では、政治団体の代表者が「会計責任者の選任及び監督に相当の注意を怠った場合」、
50万円以下の罰金の対象になる。鳩山首相は、政治資金収支報告書に虚偽記入をした罪で有罪判決
を受けた勝場啓二・元公設第1秘書(59)の共犯として告発されると同時に、会計責任者の
「選任及び監督」を怠った容疑でも告発されていた。
この罰則は「選任」と「監督」の両方に怠慢があった場合にのみ適用されるため、自民党旧橋本派への
ヤミ献金事件や、小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体を巡る違法献金事件でも、橋本竜太郎元首相
や小沢氏には適用されなかった。
今回の議決も、鳩山首相の「選任」には問題ないとして「不起訴相当」とする一方、
「政治家に都合のよい規定」だとして、
「選任さえ問題がなければ、監督が不十分でも刑事責任が問われないというのは世間一般の
常識に合致しない」
として法改正を求める強い意見が出たことを付言した。
公明党は、「選任」か「監督」のいずれかで怠慢があれば刑事責任が問えるとする改正案を
国会に提出しており、同党の大口善徳衆院議員(54)は「収支報告書は国民が政治家を判断
する上で非常に重要な材料。監督を怠っただけでも政治家の責任を問えるようにすべきだ」
と強調した。
民主党の勝又恒一郎衆院議員(47)も「検察審査会の付言は正論」と語り、同党の渡辺
周総務副大臣(48)も
「秘書の罪は政治家が連帯して責任を負うべき。民主党は率先して法改正を議論すべきだ」
と話したが、中堅議員の一人は
「政治家がすべての仕事をチェックするのは現実問題として難しい」と歯切れが悪かった。
(2010年4月27日03時10分 読売新聞)
→ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100427-OYT1T00139.htm?from=top