【産経抄】12月5日
それほど、「めでたい」ことなのか。クラスター爆弾の使用や製造を禁止する条約の署名式が、
ノルウェーで開かれたというニュースだ。日本を含め、約100カ国が署名するという。
▼きのうの毎日新聞は「『市民主導の軍縮外交』が新たな地平を切り開いた」などと祝賀ムード一色だった。
小欄とてこの爆弾が、広範囲に損害を与え、不発弾によって多くの民間人が被害に遭ってきたことを承知している。
▼もはや隣国から攻撃を受ける可能性がほとんどなくなった英、仏、独の参加には、驚かない。
英、仏2国にとっては、本来核兵器も必要ないはずだ。もっとも国連常任理事国であることを示す
“勲章”を手放すつもりはないようだ。そもそも大量に製造している米、露、中がそっぽを向いた条約に、
どれほどの意味があるのだろう。
▼加えて、北朝鮮、韓国、台湾も、禁止の動きに同調しなかった。
欧州とは比べようがないほど、緊張が高まっている東アジアで、また日本だけが軍事的なハンディを負うことになる。
島国日本の海岸線が異様に長いという特殊事情も悩ましい。約3万5000キロもあり、
中国の2倍、米国の1・5倍に達する。
▼森本敏拓殖大学大学院教授によれば、自衛隊が保有しているクラスター爆弾は、何より相手が海岸に着上陸したときに、
効力を発揮する。つまり日本になくてはならない兵器だった。新たな水際作戦の構築は、容易ではない。
こんな危ない状況へ、日本を導く旗振り役となったのが、
やはりこの人、河野洋平衆院議長だった。
▼「めでたい」に「お」を付ければ、お人よしでだまされやすい、という意味にもなる。
世界中の軍事専門家から、日本は「おめでたい国」と、あきれられているだろう。
→ http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081205/erp0812050322001-n1.htm
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