人情と機微

競馬

bakenshikabuya2007-07-02

こちらでは雨のせいか蒸し暑い夜ですが、雨降りは歓迎です。
夏を前に水不足は勘弁して欲しいですからね。
あ、ここで降っても意味無いか、ダムで降らなきゃねぇ。



昨日『人情裏長屋』(山本周五郎著・新潮文庫)を読了。
人情ほろり系(?)の秀逸な短編11話です(第10話「豹」はホロリ系ではありません)。
山本作品を読むのは、実は『赤ひげ診療譚』以来の2作目になります。
そう、まだ2作目なんです。
元々日本の時代劇(?)を小説として読むのは気が進みませんでしたから。



山本周五郎(1903(M36)-1967(S42))さん自身、当時の貧困世帯の集団である長屋生活を
幼児から経験して、その貧しくも逞しい人たちの生活感覚を、肌で知っていたそうです。
赤ひげ診療譚でも、貧しい長屋住まいの庶民の生活を、新出去定(赤ひげ)や保本登の目を通して
優しく、時には哀しげに、総じて親しげな眼差しで描いてましたよね。
こういう、現代語で言うところの“負け組(嫌な語彙!)” にスポットライトを当てて
彼ら特有の人情と無力を、親近感を持ちつつ全てを包み込むような視点での短編話はいいですね。
たまには、こんな長屋(お人よし)の人情に触れるのは、心休まるひと時を与えられる感じです。
まぁストーリー的には、途中から凡その結末は予想出来るかもしれませんが、
予定調和的に終わっても、十分満足できます。 水戸黄門的というのでしょうか?



この11話の中でのオススメは、強いて上げれば
『おもかげ抄』『風流化物屋敷』『人情裏長屋』 の3作品でしょうか。
気になったら、まずは立ち読みでもしてみて下さい。



今日から『医療の限界』(小松秀樹著・新潮新書)を読み始めました。
まだ第1章の序盤ですが、「渋江抽斎」(森鴎外著)が出てきたのには、嬉しい誤算(?)でしたねぇ。
医療崩壊を進ませる要因として、
○死生観を失った日本人の、人間として不可避の死を受け入れようとしない姿。
 それこそ渋江抽斎のように、身内の死が生活の中で日常的であった感のある時代では考えられない、
 万人に平等に訪れる“死” を、誰か(手っ取り早く医療者)のせいにしないと気が済まない思考と感情。
○医療(医科学)に対するする幻想的、盲目的とも云える過剰な期待感。
○際限がなく、確かな根拠もない安心・安全神話を信じる社会。
などなど。 
なんだか、“杏林大学割り箸事件” や “大淀病院妊婦死亡事件” などの遺族を思い浮かべると
う〜ん、“鋭いご指摘!” ってなりますね。 
まだ、ほんの少し読んだだけですが、明日以降が楽しみです。


泣きたくなる、この動画 ...。 まだ信じられませんねぇ ...。
心が ...、壊れそう ...。(少し大袈裟か?)

→ http://www.youtube.com/watch?v=NpidfKw035E

彼女は、これ以上年齢を重ねないんだよね。
永遠の美しさ(とファンにとっての苦しさ)を残したわけですね ...。